Q 排卵後、子宮内膜が薄くなって いくことはありますか?

大島 隆史 先生 自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教 室入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1 人医長として4年間勤務。1992年、新潟大学医学部において医 学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立 中央病院勤務を経て、1999年、大島クリニックを開設、院長に就任。 一般不妊治療でも好成績を上げている同クリニック。人工授精の最 適なタイミングなど、今後も研究や症例を重ね、患者さんにとって少し でも負担の少ない形で妊娠を叶えていきたいそうです。
かこさん(34歳)からの相談 Q.今回採卵で11個卵子が採れ、10個が受精。8分割ま で9個が育ったところで、採卵から3日後に受精卵を移植 しました。採卵前や排卵直前、子宮内膜は14㎜くらい まで厚くなっていました。しかし、移植から9日経って診 察に行ったところ、内膜は10㎜程度に。ホルモン補充 もしていますが、内膜が見えにくいというか、排卵前より 黒く見えたように感じました。これは生理前の状態なので しょうか。 排卵後に子宮内膜が薄くなるなんてあるので すか? 誤差にしては大きい気がして……。判定日は1週 間後なので、またホルモン補充の薬が出され、しかも1 種類追加になりました。今、どのような状況なのか気に なっています。

子宮内膜はどのような形で厚くなって いくのが理想的なのでしょうか。

大島先生 ある文献によると、子宮内膜は排卵前には1日約 0.5 ㎜のペースで厚く なり、排卵後は1日約 0.1 ㎜ずつ厚くなる ようです。また、着床期(排卵してから5~9日目)に8㎜から 10 ㎜をピークに13 ㎜までの厚さであるのが妊娠しやすく、 7㎜や 14 ㎜はぎりぎりのライン、6㎜以 下や 15 ㎜以上は厳しい。つまり、子宮内 膜は厚ければ厚いほどいいというわけではないんですね。

このようなことから考えると、かこさんの場合、排卵前に 14 ㎜だったのは少し 厚すぎるように思います。それなのに移植9日目に 10 ㎜というのはちょっと落差 が大きいような気がしますね。

画像で子宮内膜が黒っぽく見えたとい うことですが、これはどのようなことが考えられますか?。

大島先生 超音波で見ると、排卵前は子宮内膜の真ん中に線が入り、木の葉のような状態になります。排卵後、黄体期になるとこの線が消えてなくなり、全体的に白く見えるんですね。黒く見えたということは、子宮内膜が黄体期に移行するのが遅いことが考えられます。ただ、かこさんが一瞬、そう見えただけで、きちんと画像を見てみなければ何ともいえません。担当の先生は何とおっしゃられていたのでしょうか。

このような場合、着床はうまくいかな いことが多いのでしょうか。

大島先生 どんな排卵誘発法だったのか記載がありませんが、今回は 11 個の卵子 が採れて、新鮮胚で移植されています。11 個採れたらホルモン値がかなり上がって、それが子宮内膜に影響してしまうことも。採卵が3個程度でホルモン値も低ければ新鮮胚で移植してもいいと思いますが、多く採れた場合は受精卵を凍結して、子宮の環境を整えてから移植したほうが妊娠率を上げることができるのではないでしょうか。

今、黄体ホルモン剤を処方されているようですね。これには子宮内膜を厚くする作用はありませんが、妊娠の継続には必要なので補充を続けられていいと思います。もう一つ追加されたお薬はエストロゲンでしょうか。エストロゲンには内膜を厚くする作用が期待できますが、移植9日目、採卵 12 日目で着床はすでに終 わっている時期なので、あまり意味はないかもしれません。

今回着床したかどうか、この時点では何ともいえませんが、もし結果が出なくても方法次第で妊娠する可能性は十分あるので、前向きに治療を続けていただきたいと思います。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。