3度目の流産

Q 染色体検査をするか、 このまま頑張るか迷っています

宇津宮隆史先生 熊本大学医学部卒業。1988年九州大学生体防御医学研究所 講師、1989年大分県立病院がんセンター第二婦人科部長を経て、 1992 年セント・ルカ産婦人科開院。国内でいち早く不妊治療に 取り組んだパイオニアの一人。開院以来、妊娠数は8,000件を 超える。O型・おひつじ座。日本産科婦人科学会による「着床前 スクリーニングPGS(PGT-A)」の臨床試験施設となっている セント・ルカ産婦人科。宇津宮先生は「日本のPGS(PGT-A) は大きな転換期を迎えています。不妊で苦しんでいるご夫婦を救い たいという信念で早期の実用を目指したい」と語ってくださいました
ネコバスさん(33歳)からの相談 Q.昨年から2回流産手術をし、今回も胎嚢の大きさが変わっ ていないことから、おそらく流産の可能性が高いといわれま した。今も生理並みの出血が続いており、3回目の流産が 確定したら染色体検査を受けようと思っていたのです。しか し、それ以上流産をしても無事出産している方が多いことや、 検査をしても原因がわからないことも多いと聞き、迷ってい ます。主治医は流産手術後も2回生理を見送れば妊娠しても いいというお考えなので、あまり間を空けずに妊娠をしまし たが、続けて流産したのでもう少し体を休めてから妊娠した ほうが良かったのでしょうか。1回目は12週手前での心拍 停止の稽留流産、2回目は9週目の稽留流産、今回は胎嚢 確認後の流産です。アドバイスをよろしくお願いします。

昨年に入って2回流産し、3回目の流産の 可能性があるとのこと。

ネコバスさんが流 産を繰り返す原因として、どのようなこと が考えられますか?

宇津宮先生 3回の流産ということですの で、習慣流産ではありますが、ネコバスさ んの場合はすでにお子さんを 1 人出産され ているとのことですので、もともとの不育 症というわけではないでしょう。お母さん の血液で不育症かどうかを調べることがで きますから、気になるなら検査を受けても いいとは思いますが、可能性としては低い のではないでしょうか。

不妊症という診断を受けていなくても、 誰もが1回の妊娠で 15 %は流産する可能性 があり、その 15 %のうちの半数は染色体異 常によるものだといわれています。誰にで も起こりうるものですから、ネコバスさん の場合もたまたま若干の染色体異常による 流産だとも考えられます。

染色体検査をするべきか悩んでいるようで すが、先生の考えをお聞かせください。

宇津宮先生  染色体検査は、流産した胎 児(芽)とご夫婦について分けて説明しま す。まず流産した赤ちゃんですが、当院で は250人を超える流産の原因を調査して いますが、そのデータを分析すると流産し た胎児は、体外受精では 80 %以上、人工授 精やタイミング法では 70 %以上で胎児の染 色体異常を原因とする流産だということが 判明しています。
  またご夫婦の染色体検査は、私からはあま りおすすめしていません。なぜなら、染色 体検査というものは今までの検査とはまっ たく次元が異なり、夫婦どちらかに不妊の 原因が見つかる可能性があるからです。  その結果をどうするのか。知りたいと思 うのか、知りたくないのか。
  また、遺伝について検査するため、染色体の転座や血縁関係に何かしらの異常が見つか る場合もあります。流産を繰り返すので、そ の原因を検査するはずだったのに、まったく 別の予期せぬ病気などが見つかる可能性もあ ります。何らかの異常があるということがわ かってもどちらが異常かと知らせないという 選択肢もありますが、そのような理由からも ご夫婦の染色体検査を安易に行うことには危 惧すべきものがあります。技術の進歩により 遺伝の情報が透けて見えるようになった今こ そ、その意味をきちんと考えてほしいという のが私からのメッセージです。

最後に、ネコバスさんご夫婦へのアドバイ スがあればお願いします。

宇津宮先生 流産手術を受けたあと2周期 ほど妊娠を見送るというのは良い選択で しょう。もしご夫婦のどちらかに染色体異 常があるなら、着床前診断(PGD)で原 因を見つけ、その原因に応じた治療を行う という選択肢もあります。

ネコバスさんは現在 33 歳と年齢的にもま だ若いですし、出産経験もあり、何回も妊 娠まではいたっているのですから、このま ま何度かトライすれば結果が出るような印 象を私は受けていますので、あまり心配な さらずに治療を続けていただきたいですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。