体外受精か、腹腔鏡手術か悩みます

Q 過去の嚢腫手術で卵管閉塞。 癒着は早く剥がすべき?

柏崎 祐士 先生 京都府立医科大学医学部卒業。2000年まで日本大学板橋病 院で主に不妊治療に従事し、その間、米国エール大学医学部産 婦人科で研修。その後、「かしわざき産婦人科」副院長に。日 本生殖医学会生殖医療専門医、日本産婦人科内視鏡学会認定 医。O 型・おとめ座。「同じ産婦人科医を目指す娘がようやく1 人前になりつつあり、嬉しい限り。パパの知識は古い! と言われ ることもありますが、新情報も得られて勉強になります(笑)。私 の経験と彼女の最新知識、うまく融合させたいですね」。
こちさん(29歳)からの相談 Q.卵管造影検査をしましたが、造影剤が卵管に広がらず、す ぐに体外に出てきてしまい、過去2回の手術で癒着してい るのだろうとのことでした。23歳で両方、29歳(半年前) に左の卵巣にチョコレート嚢腫が見つかり、腹腔鏡手術を 受けています。現在は医師から、「体外受精か、腹腔鏡手 術で癒着を剥がすか、どちらにしますか」と言われています。 左右両側とも卵管閉塞とは信じられず、別の病院でもう一 度検査することも考えていますが、今回は体外受精し、第 2子以降は腹腔鏡手術で癒着を剥がして自然妊娠という選 択は可能ですか。それとも、癒着はできるだけ早く剥がし たほうがいいですか。理想は自然妊娠ですが、早く妊娠で きるなら体外受精も、と悩んでいます。

過去の手術で卵管が癒着して閉塞している可能性があり、担当医から、体外受精か、または腹腔鏡手術か、選択を求められています。

柏崎先生 結論から言えば、できるだけ早くママになりたいというのであれば体外受精。より自然に近いかたちで妊娠したいというのであれば、腹腔鏡手術を選択されると良いかと思います。どちらを選ぶかは悩まれるところでしょうが、やはりご本人次第です。
ただ、ご相談者のこちさんは、過去にチョコレート嚢腫で 2 度も手術されているのとのこと。実は、患部(卵巣の一部)を剥ぎ取る際には、一緒に正常な卵子もだいぶ取られてしまうのです。まだ 29 歳ですが、通常よりは卵子の数が少なくなっていると考えられるので、その点もぜひ判断材料にしてください。

今回は体外受精、第 2 子は腹腔鏡手術を受けた後に自然妊娠を目指す、ということも考えられますか。

癒着は放置せずに、できるだけ早く剥がしたほうがいいですか。
柏崎先生 卵管の癒着は、体外受精であれば妨げにはなりません。また、癒着の悪化によって腹痛を起こすといったことも極めて稀なので、自然妊娠さえ希望しなければ、そのままにしておいてかまいません。しかし、年月を経ることによって癒着が強固になり、剥がしにくくなるのは確かです。まずは体外受精で第 1 子を授かり、精神的に余裕をもって治療し、第 2 子以降は自然妊娠にトライする、というのも一つの考え方だと思いますが、自然妊娠に思い入れがあるのなら、癒着はできるだけ早めに剥がしたほうが賢明と言えるでしょう。これも、「早くママになりたい」「できるだけ自然妊娠したい」という気持ちのせめぎ合いになるかとは思いますが、こちさんはまだ 29 歳 ですし、それほど自然妊娠に思い入れが深いのでしたら、第 2 子、第 3 子のためにも、できるだけ早めに腹腔鏡手術を受けたほうが良いかもしれませんね。

「別の病院でもう一度卵管造影検査を受けてみようと思う」の一文も気になります。

技術の差は大きいのですか。
柏崎先生 それほど難しい検査ではないので、医師や病院によって大きな差が出ることはほとんどないでしょう。卵管造影検査は感染症のリスクもあるので、短期間に何度も受けるのはおすすめできません。

「卵管閉塞だから、体外受精しかない」と言い切る医師も少なくないなか、腹腔鏡手術も提案してくれたクリニックは、むしろ良心的に感じられます。担当医とよく相談して、納得のいく治療法を選んでいただきたいですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。