診察時の痛みと病院の対応について

Q 性交障害で人工授精へ。 でも、診察痛が我慢できず

内田昭弘先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員と して、1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に 携わる。1997年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦 人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木 先生による心理カウンセリングをもって現在のクリニック の完成形としている。この4月、創立20周年の内田クリニッ ク。「あっという間でした。これからも健康第一に、いろいろ な形のカップルがそれぞれの家族をつくっていくお手伝い ができる施設でありたいです」と、意欲的な内田先生です
アイダさん(32歳)からの相談 Q.結婚して2 年。夫が性交障害です。人工授精にのぞもう と、地元の病院に通い始めました。2カ月間の検査でAI Hの段階まできましたが、病院の対応に不信感をもってい ます。問診で、夫が性交障害と告げているにもかかわらず、 「普通はタイミングで様子を見るので、最初から人工授精 は……」のようなことを言われ、また私自身、あまり経験 がないため、器具を入れられる際に体がこわばってしまい ます。すると、「普通はこんなに痛がらない」「痛がるなら ドクターは人工授精しません」とも。女性の性器は、濡 れてない状態で器具を入れて痛くないのですか? 地元で 人工授精をしているのは、そこと総合病院しかありません。 転院しようか悩んでいます。

夫の性交障害で人工授精に 踏み切ったようですが、診察の時に痛みがあ るようです。

内田先生 確かに診察できないと人工授精は できないので、工夫が必要です。不妊の原因 はセックスができていないことなので、これ までの性交体験から、うまい具合に処女膜が 破られていないのかもしれませんね。
当院の やり方では、まずは痛みのない状況で診察で きることに慣れてもらうことが大切なので、 診察の前に表面に局所麻酔のゼリーを塗って から超音波検査の器具を腟に挿入したり、診 察器具であるクスコを使ったりします。
クス コが入れば人工授精ができますから。それで 人工授精ができた患者さんもいらっしゃいま す。
個人差はあっても、多くの人は痛みを伴 うと思うので、今後そのような対処を考えて みてもいいのではないでしょうか。

アイダさんの痛みは、特に強いのでしょ うか?

内田先生 もしかすると、アイダさんにも性 交障害があるかもしれないですね。
なかには、 女性が痛がるから射精まで至らないパターン もあると思います。
痛いのを無理にはできな いですからね。
これから先、セックスについ てどう考えていくのかがポイントの一つでは ないでしょうか。
妊娠を目指す治療としての 人工授精と、セックスできるようになる治療 が別という方向で進めてみてもいいのかなと 思います。

性交障害には、どのような治療がありま すか?

内田先生 ご主人には泌尿器科で性交障害に 関する相談をされるようおすすめします。
ア イダさんは、慣れるしかないのかもしれませ ん。
診察でも、超音波検査の器具が入ったり することで、だんだんと腟の入り口の痛みが 軽減して麻酔薬も要らなくなることが多いで すから。
また、ご夫婦でそういう話ができる ようになると、セックスをする状況が今までと変わるかもしれません。
自分たちで取り組 む延長線上で、自然とセックスができるよう になっていけばいいなと僕は思いますね。

人工授精で子どもさえできればいい、とい う考えではないのですね。

内田先生 セックスレスでも仲のいいカップ ルはあるのですが、カップルの関係性には医 療者としては少し不安も感じます。
生殖目的 でないセックスができるのは人間だけで、ほ かの動物は発情期があってセックスをしま す。
そうであれば、妊娠のためだけではない セックスもできるようになることを考えても いいと思いますよ。
アイダさんは、今かかっている病院に不信 感を抱き、地元の総合病院へ転院するべきか どうかを悩んでいるようです。
内田先生 今の施設では診察もままならない くらい痛くて、人工授精もできないような対 応をされているのであれば、とりあえず総合 病院へ行き、「こちらでは、このような状態 でしたら、どのようにしているのですか?」 と、相談することから始めるべきだと思いま すね。
転院しても同じ対応かもしれないし、 もっとひどいと思えるかもしれませんから。
そういう意味で、まずは相談することをおす すめします。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。