低AMHと高FSHで人工授精の結果も陰性。体外受精に進むべき?
相談者:まーまーさん(36歳)生理不順で受診した婦人科で専門施設を紹介してもらい、昨年からタイミング法を6回。うち 2 回は自然周期、4 回はゴナールエフⓇで卵巣刺激し、今回は人工授精も試しました。主治医から低 AMH(1.2ng/ml)と高 FSH を指摘され、あと3回タイミング法か人工授精しても授からない場合は体外受精(ロング法)をすすめられています。経済的に1回しかできないと思います。ちなみに子宮に屈曲があり、人工授精の時の痛みがつらく怖かったです。みんな同じ思いをしているのでしょうか。
妊娠に至らない原因には、どのよう なことが考えられますか
山田先生● まーまーさんのデータで気 になったのが、1年前に見つかった右卵管膨大部付近の狭窄です。卵管造影検査で激痛をともない何とか開通された そうですが、やはり卵管狭窄が原因の1つと考えられます。
また、低AMHと高FSHは卵巣備能と卵巣機能の低下が考えられます。さらに生理不順の原因になっている子宮 内膜症も合併されているようです。閉経までに悪化していく心配もありますから、できるだけ早めにステップアップされるのがいいと思います。
体外受精のタイミングや治療内容について教えてください。
山田先生●治療の開始から1年経ちます し、6回のタイミング法と人工授精を試されています。これから体外受精の準備をしながら、人工授精をあと1〜2回試しても結果が出ないようでしたら、早く体外受精に進まれるのがいいと思います。具体的な治療法は卵巣機能の状態をみて検討します。
たとえば、まーまーさんのAMHは同年代の方と比べると低いほうですが、1ng/㎖ 以上ありますから、お薬の投与で卵巣がうまく反応してくれるかもしれません。1回あたりの 妊娠率を高めるためには、良好な卵子を複数個育てることが大切です。
まずは高刺激の卵巣刺激法をおすすめします。そのなかで担当の先生が提案されているロング法も一つの選択ですが、最近は黄体ホルモン併用の卵巣刺激法もあります。黄体ホルモンのお薬を服用しつつ、 月経3日目から H M G または F S H 製剤を投与すると、卵胞が成熟する前の早発排卵を防ぐ効果があります。
子宮の屈曲は、今後の移植に影響しますか?
山田先生●移植にかぎらず子宮内操作に関しては、患者さんの状態や医師の手技によって個人差が生じます。また形 状や性能が異なる専用の移植カテーテルが開発されていますので、その選択でも変わります。当院は3種類を使い分け、子宮の奥まで入りにくい方には、少しハードなもので痛みを軽減しつつ、確実に移植できる工夫をしています。
体外受精に進まれても、その方の状態によっては1回の治療では難しく、2〜3回採卵が必要になることもあります。経済的な負担はさらに大きくなるかもしれません。今、政府で議論している「不妊治療の保険適用拡大案」では、助成額の拡充も検討されています。助成額が早期に拡充されれば、治療を受けやすくなると思います。