凍結胚移植後のじんましん

移植後の薬の副作用。

もし妊娠した場合、 赤ちゃんに影響は?

伊藤 哲 先生 順天堂大学医学部、同大学院修了。順天堂大学医学部産婦人科 学講師、国際親善総合病院産婦人科医長を経て、1999年あいウ イメンズクリニック開院。日本生殖医学会生殖医療専門医。5月の 連休中にクリニックの内装を一新。待合室のソファやカーペットの色 を変え、診察室などのドアも新しいものに。全体的にトーンが統一さ れて、より快適で落ち着いた空間に生まれ変わりました。
ケイトさん(38歳)からの相談 Q.凍結胚移植を2回行って陰性だったのですが、2回目の移植後にじんましんが出てし まいました。卵胞ホルモン剤で出血してしまい、一度やめたその薬を2回目の移植 後に再び先生が処方したんです。副作用が出た薬を移植後の大切な時期になぜまた 出したのかを先生に尋ねたところ、「ほかの薬ではホルモンの数値が上がりすぎてし まう懸念があった」とのこと。結局、今回もその薬に反応してしまいました。まだ じんましんが出ている状態で、来週、3回目の移植を行います。このような体調で もし陽性になった場合、お腹の子どもに影響がないか心配……。薬の副作用でじん ましんが出たら、通常はどのような対応をするのでしょうか?

黄体ホルモンの副作用

ホルモン剤でじんましんの副作用が出てしまうことはよくあるのでしょうか。
伊藤先生 ケイトさんはプロゲスタンⓇ、プレマリンⓇ、プロギノーバⓇ、ルトラールⓇの4種類の薬を使用したようですね。
移植後に処方されたということは、黄体ホルモン剤のプロゲスタンⓇかルトラールⓇで副作用を起こされたのでしょうか。
その辺りは不明ですが、どの薬であったとしても、副作用の中に発疹は含まれており、体に合わなければ薬疹という形で出ることはあり得ます。
一度出た場合は本当にその薬が原因で起こっているのかわからない場合があるので、もう1回処方することがあるかもしれません。
しかし、2回目も同じように出たのであれば、薬による発疹だと確定しますよね。
じんましんの症状はどの程度でしょうか。
何度も繰り返し全身に出るようなら重症化していくこともありますし、アナフィラキシーのように短時間で呼吸困難などの激しい症状が現れて、命に関わるようなことになっては大変です。
 2 度も同じ薬でアレルギー反応が出てい るようなら、やはりその薬は控えたほうがいいと思いますね。
担当医の先生は「ほかの薬ではホルモンの数値が上がりすぎてしまう」とおっしゃっているようですが。
伊藤先生 効果を優先されたい気持ちはわかりますが、アレルギー反応が出ている以上、当院だったらほかの薬に替えると思います。
腟座薬などだと容量が決まっているので難しいかもしれませんが、飲み薬ならホルモンの数値が上がりすぎないように投与量を減らすなど、ある程度調節することは可能だと思います。

赤ちゃんへの影響

まだ発疹の症状はあるようですが、このまま次の移植をして妊娠した場合、赤ちゃんに影響はないのでしょうか。
伊藤先生 発疹が出ているから妊娠が成立しないということはありませんし、赤ちゃんへの影響も心配ないでしょう。
その点は安心されていいと思います。
もし発疹が長引いてご本人がつらかったら、妊娠初期でも使用できる抗アレルギー剤もあります。
それで症状を緩和することもできますから。
しかし、たとえ問題がないとしても、妊娠したら余計な薬は服用したくないですよね。
どんなに安全といわれても薬は薬ですから、心配になってしまうと思います。
そうなると、やはり薬を替えてもらうことがいいのではないかと思います。
あまり神経質になる必要はありませんが、ずっと気になっているようなら、それがストレスになって妊娠にとって良くない影響が出てしまうかもしれません。
ほかの薬でも同じような効果を得ることは可能だと思いますので、もう一度、先生に相談されてみてはいかがでしょうか。
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