繰り返す初期流産。

このまま治療を続けて 妊娠する可能性はあるの?

石原 尚徳 先生 高知医科大学卒業。神戸大学医学部大学院修了。兵庫県立成人 病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2012年より久保み ずきレディースクリニック菅原記念診療所院長。不妊治療から周産期・ 小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う同クリニッ クで、不妊治療/婦人科、産科の外来を担当する。「前号の写真は、 作り笑顔だったなあ…」と写真うつりが気になり、後悔しきりの先生。 「自然な笑顔は難しいですね。いつまでたっても撮影には慣れません」 と言いつつも、今回もステキな笑顔を向けてくださいました。
hawnさん(39歳)からの相談 Q.これまで顕微授精をして新鮮胚を2回移植、凍結胚を2回移植しました。1度目 は妊娠反応が出て7週目で稽留流産をし、2回目は妊娠反応が出ませんでした。 そして凍結胚を移植した1回目は妊娠反応が出たものの、すぐに初期流産し、2 回目は稽留流産でした。着床はするものの流産が続いているので、この先、治 療を続けてもまた流産を繰り返すのではないかと考えてしまいます。不育症検 査も行い、これといった原因もなく、ヘパリン注射とアスピリンも使ってみまし た。年齢的にも治療を続けていい結果が出る可能性もわかりませんし、精神的 にもきついです。こんなに流産が続くものなのでしょうか。

不育症検査

不育症検査では問題がないのに、初期流産を繰り返しているそうです。
石原先生 明らかに原因不明といわれる流産は 25 %程度といわれています。
この方が不 育症検査をどこまでされているかによりますが、より詳しい検査を行うことで原因がわかることがあります。
不育症検査は人によってさまざまで、一般的にどこまで行うかを判断するのは難しいのですが、たとえば採血による一般検査のほかに、全身的な合併症を引き起こす甲状腺機能や糖尿病の検査や免疫異常、抗リン脂質抗体、夫婦染色体異常、子宮の異常や奇形を調べる検査、さらには流産時の絨毛染色体検査などがあげられます。
このような不育症検査で問題がないのであ れば、年齢的な要因が大きいでしょう。
年齢にともなう流産の確率は、もっとも流産しにくいといわれる 20 代でも 10 〜 15 %、 30 代後半 では 30 %になります。
年齢が高くなるにつれ、 必然的に流産率は高くなります。
さらに年齢が高くなるほど、染色体異常の確率が増えます。なかでも初期流産の原因の 50 %以上を占めているのが赤ちゃん側の 染色体異常です。
一般的に赤ちゃんの染色体異常としてよく知られているのがダウン症です。
実は、ダウン症は染色体異常の中では軽度の症例です。生きる力を持った染色体異常のため、ダウン症をもって生まれます。
ほかにもさまざまな染色体異常があり、そのほとんどが流産に終わっているのが現実です。
ダウン症として命を授かることもあれば、流産というかたちで受精卵に染色体異常が起きている可能性もあります。

カウンセリングの必要性

今後も治療を続けて、いい結果につながる可能性はあるでしょうか。
石原先生 流産を1回経験するだけでもつらいことです。
今後は、この方がいまの気持ちを乗り越えることができるかどうかによると思います。
あるデータによると、流産を2回繰り返した人の 80 %が、その後に治療をしていな くても赤ちゃんを授かっています。
さらに、流産3回の人では 70 %、流産4回の人では60 %、さらに流産を5回したとしても 50 % の出産の可能性があります。
ですので、治療を続けられることも一つの選択だと思います。
流産の経験がつらくて治療を諦めるという選択も理解できます。
流産を繰り返す要因の一つに、ストレスが影響しているともいわれています。
そこで近年、医療現場では「テンダー・ラビング・ケア(Tender   lovingcare)」という方法が注目されています。
1人の患者さんに1人の医師が妊娠初期から安定期までカウンセリングを含めてしっかりケアをするというものです。
これにより流産率が下がり、出産率が上がるとの報告もあります。
医師が患者さんとじっくり話し合う環境をつくり、心配を取り除きながら治療を行うことで、良い結果につながることもあると思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。