卵管造影検査の判断について

「卵管が詰まっている」と 卵管造影検査で言われ、 理由も分からず困惑です

向田 哲規 先生 高知医科大学卒業。同大学産婦人科医局に入り、不妊治療・体外 受精を専門にするため、1987年、アメリカ・マイアミ大学生殖医 療体外受精プログラムに在籍、1990年からNY・NJ州のダイヤ モンド不妊センターに在籍後、1996年より広島HART クリニッ クに勤務し、現在院長として臨床に従事する。「新しいタイプの培 養液、タイムラプスなどのラボにおける新技術を駆使して、ART 治療のみに特化した広島HARTクリニックでそれぞれの患者に あった個別の不妊治療を今後も極めていきたいと思います」と新 年への目標を語っていただきました。
夏みかんさん(29歳)からの相談 Q.初めて卵管造影検査をしました。静脈麻酔で眠った状態で受けましたので痛みは ありませんでした。結果は、片方はスムーズに通っているがもう片方は途中で止ま っていました。医師からは「癒着はないし、詰まってはいないと思うけど片方はなぜ か流れない。麻酔を少し強めにし圧をかけて造影剤を流したから、もう一方はもし かしたらそれで通ったのかも」と言われました。検査中に通っていたらレントゲンに 写りますよね? 癒着はないと言われたのですが閉鎖しているのでしょうか? 内 膜症はありませんでした。また、化学流産を2回していますが、両方とも流れなか ったほうからの排卵でした。それについては「最後の化学流産で詰まり気味になっ たのかも。妊娠出産とか流産で詰まってしまうことはあります。」と言われました。 本当なのでしょうか? 最後の化学流産は前周期ですから、まだ数週間しか経って いません。もし化学流産が原因なら再開通の可能性はありますか?
夏みかんさんの卵管造影検査の結果を鑑みてどのように思われますか?
向田先生 まず、「癒着がないけど流れない」ということは、やはり卵管が通っていない可能性が高いでしょう。
卵管造影検査で使うヨード系造影剤は粘稠性が高く、それが通っていかないのですから正常ではないということでしょう。
とはいえこの検査は、卵管の通過性に関する一つの情報に過ぎず、次に進む必要があります。
卵管は、卵巣から排卵された卵子をピックアップし、卵子と精子が出会い受精する場所であり、その受精卵を発育させるなど非常に大切な働きをしているため、通過性より機能しているかどうかの方がより重要です。
卵管には微細な絨毛構造もあり、受精できた卵を発育させながら卵管采から子宮内に送り込むという機能があります。
一般的に検査対象が「管」であると詰まっているかどうかを気にしてしまいますが、前述したとおり卵管は通過性だけでなく機能しているかどうかがより重要になります。
流れていないのでおそらく詰まっているという可能性は高いのでしょうが、「その検査のときだけ流れなかったのかもしれない」という医師の意見も正しいでしょう。
子宮卵管造影検査はあくまでも卵管が詰まっているかどうか調べる一つの検査であり、それも間接的にレントゲン写真を撮ってわかることです。
それに一喜一憂する必要はありません。
今後の治療へのアドバイスをいただけますか?
向田先生 夏みかんさんは 29 歳、これから 治療していくようですから、一般的にタイミング療法をし、半年くらいして妊娠しなければ次のステップに進む流れがいいでしょう。
もし卵管のことが気になるのであれば、さらに詳細な検査をするべきでしょう。
卵管造影検査というのはあくまでも卵管に造影剤を流して写真を撮るだけの検査です。
内視鏡を使って卵管内をきちんと細部まで観察できる卵管鏡検査をおすすめします。
そして、もし卵管が詰まっていたら、通すことができます。
FTカテーテル法(卵管鏡下卵管形成術)といって、卵管にカテーテルを挿入して詰まっている部分で細いバルーン(風船)を膨らませて卵管を拡張させます。
このような治療を積極的に行うクリニックも多いので、卵管の通過性や癒着のことが気になるのであれば、一度 F T カテーテルを含めた総合的検査を受けることが出来るクリニックを受診するのも良いでしょう。
また、夏みかんさんの場合はご主人の精子が少ない点を指摘されたとのことですので、精液検査を再度2~3回して、精子の状態を詳細にチェックすべきでしょう。
年齢的にも焦る必要はないですが、適切に検査し半年から一年以内に妊娠できるようにステップアップを考えながら納得行く治療を受けていけばよいと思われます。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。