低刺激で採卵当日に排卵3

「刺激?自然?   排卵誘発はどの方法がいいですか」

低刺激で採卵当日に排卵……

私の場合、排卵誘発はショート法しかないの?

臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保 春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従 事。医局長を経て、1995年より現在の東京・亀有 にて産婦人科医院を開業。ファンクラブに入るほ どジャイアンツの大ファンの臼井先生。以前は優 勝すると、球場近くの公園でビールかけをしてい ましたが、最近は風邪を引いてしまうので飲むだ け(!?)で我慢しているとか。

ドクターアドバイス

●排卵済みになるのは年齢が要因のことも
●アンタゴニストを使って排卵を抑えていく
●現状ならショート法より低刺激法の選択を
沈丁花さん 42 歳 Q.低刺激で排卵済み、ショート法しかないでしょうか? 高齢ですが、1年に一度妊娠できているため、流産を繰り返して も諦められずにいます。これまで低刺激で2回行い、採卵当日に 排卵してしまっています。排卵済みをふせぐためにアンタゴニス トや座薬を使うこともあるそうですが、私の場合は「アンタゴニ ストを使うと卵胞が縮んでしまう」「排卵済みを防ぐには高刺激 にするしかない」と医師に言われました。他はずっとショート法 で、採卵数にばらつきがありますが、その都度、新鮮初期胚移植 は行えています。アンタゴニスト法などほかの方法はないのか、 それともショート法で3回妊娠できているので、このまま続けた ほうが良いのか、教えてください。

治療データ

【検査・治療歴】

治療歴3年。7回採卵を行い、1回目から4回目まではショー ト法、5・6回目はクロミッドⓇ+HMG注射による低刺激法、 7回目はショート法。
低刺激の時は2回とも排卵済み。
3度 妊娠するも流産。
不育症検査は問題なし

【現在の治療方針】

最近の妊娠時でNK活性47と高値だったため、プレドニン 5mgを服用中。次回の採卵はピル・ショート法の予定。
現在 プラノバールⓇ服用中。

【精子データ】

濃度3340万/ml(量3.2ml)、
運動率43%、
運動性B、
正常形態率32%

年齢によるホルモン不安定

沈丁花さんは 39 歳の時からこれまで7回採卵を行い、 1回目から4回目まではシ ※ ョート法、5・6回目はクロ ミッドⓇ+HMG注射による低刺激法、7回目はまた ショート法による卵巣刺激を行っています。低刺激法 の時は2回とも採卵時に排卵済みになってしまったと いうことですが、なぜこのようなことが起こってしま うのでしょうか。
臼井先生 排卵済みになってしまうことは珍しいこ とではないと思います。
特に低刺激法だからというこ とではなく、アンタゴニスト法の場合でも、排卵のサ インであるLHサージが早めに来てしまう方もいらっ しゃいます。
ただ当院の場合、2回も排卵済みが続い てしまうというケースはあまりないですね。
はっきりとした原因があるというより、偶然である ことが多いのでは。
年齢が高くなるとホルモンの状態 が不安定になったり、お薬が効きにくくなる場合もあ るので、なかなか予測通りにいかないこともあります。
しかし、1回そのようなことが起きれば、次は繰り返 さないように予防策が打てるのではないでしょうか。

排卵を抑えるために

沈丁花さんもおっしゃっているように、アンタゴニ ストや座薬を使うということでしょうか。
臼井先生 確かにアンタゴニストを使うことはあり ます。
すでに使っている場合でもしっかり効いてい ないという思われる時は、最後の段階で量を倍に増 やすなどの措置をとることも。そうすると効く方が 多いですね。
座薬については、これはおそらくボルタレンⓇという お薬のことだと思います。
排卵というのは人間の体に とって炎症の1つなので、それを防ぐという意味で抗 炎症作用のあるボルタレンⓇのような座薬を使います。
当院では、排卵済みになってしまうという場合、 両方とも選択肢に入りますね。
どちらを使うかの判 断基準としては、アンタゴニストは排卵を抑えるお 薬なんですが、その力が強すぎてしまうことも。
で すから、初めてという方にはあまり使わないように しています。
ボルタレンⓇにはそこまで強い効果はな いですし、注射ではないので痛みもありません。
お 薬の量も少なくなるということでアンタゴニストよ りハードルは低く、どのような方にも使えるやり方 ではないでしょうか。

経緯から低刺激が良いのでは?

担当の先生がおっしゃっている「アンタゴニストを 使うと卵胞が縮む」というのは、お薬の効果が強すぎ るから、ということなんですね。
臼井先生 縮むというのは卵胞の育ちが悪くなると いうことだと思います。
防ぐためには、アンタゴニス トを使ったらHMGの注射も足してあげる。そうする と、卵胞もちゃんと育つことが多いですね。
では、排卵済みを防ぎ、妊娠に近づくためには最終 的にどのような卵巣刺激法を選択すればいいのでしょ うか。これまではショート法が多かったようですが。
臼井先生 卵巣の予備能をみるAMH(抗ミュラー 管ホルモン)の数値はわからないということですね。
ショート法を選択されて、 39 歳の時に 15 個、 40 歳で10 個と3個、 41 歳で6個、 42 歳で3個卵子が採れて います。
ご年齢の割には多く採れて、残念ながら流 産という結果に終わっていますが、5回のうち3回 妊娠もされています。
この過程から考えればショー ト法は沈丁花さんに合っており、先生もこの方法にこだわるお気持ちもわかるような気がしますね。
しかし、やはり加齢による卵巣機能の低下のため か、採れる数がだんだん少なくなってきています。
お薬を強めにたくさん使っても、卵巣が反応しなく なってきているのではないでしょうか。
ショート法で強めの刺激をすれば採れる卵子の数 は増えるのですが、最後はHCGで切り替えなけれ ばいけません。
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)に なってしまうリスクもあるので、当院では行ってい ないんですね。
沈丁花さんも初回は 15 個採れて、そ れも新鮮胚移植をしているのでOHSSになる確率 は非常に高かったと思うのですが、現在はおそらく 卵巣の反応が鈍く、ショート法を行ってもそのリス クは少ないでしょう。
しかし、採れる卵子の数が減ってきているのなら、 そんなに高い刺激をしても意味はない気がします。
注射をたくさんしても3個であれば、体にも経済的 にも負担が減る低刺激で3個目指したほうがいいと思うんですね。

違う刺激を採用して、違う結果が出ることも

排卵済みを防ぎながら低刺激をしていく方法がベス トということでしょうか。
臼井先生 排卵済みを心配されるようであれば、前 述したようにアンタゴニストを加えていく。
アンタ ゴニストもいろいろな使い方があります。
通常のア ンタゴニスト法は、最初からHMGを使って途中か らアンタゴニストに切り替えるのですが、沈丁花さ んの場合、基本は低刺激で最後だけアンタゴニスト を使う方法をとればいいのではないでしょうか。
座 薬ではおそらく効き目が弱いと思うので、排卵済み を防ぐためにはやはりアンタゴニストを選択された ほうがいいと思います。
ずっと同じ刺激法でしたら、違う方法をとること で体の反応が変わり、結果が出る方も。そういう意 味でも変えてみたほうがいいかもしれませんね。
こ れまで卵子は採れているのですから、やり方を工夫 すればまだ妊娠される可能性はあると思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。