3度目の稽留流産、その後の治療法について

3度目の流産。 今後の治療は どうすればいいですか?

石川 弘伸 先生 1991年滋賀医科大学卒業、同大学院修了。泉大津市立病院副医長、 水口市民病院産婦人科医長、野洲病院産婦人科部長を経て、2003年 より醍醐渡辺クリニック副院長。大学院では生殖医学で着床の分野の研 究に携わり、生殖医療の道を志す。大学で2年先輩である同クリニック院 長の渡辺浩彦先生との縁で同クリニックへ。A型・射手座。2014年1月 に開業10周年を迎えた醍醐渡辺クリニック。出産から最先端の不妊治療ま で、小児科からスタートした前身の醍醐渡辺病院から数えると、50周年とい う大きな節目の年でもあるそう。今年はさらなる飛躍の年となりそうです。
なのはなさん(41歳)からの相談 Q.結婚16年目、治療に専念し始めたのは40歳を目前に転院してからです。初めての 胚盤胞移植ですぐに妊娠。しかし、心拍確認後に稽留流産しました。1年後の胚盤胞移植でも、胎芽確認前に稽留流産。その次は初期胚を2個移植しましたが、8週 目で心拍を確認できず、3度目の稽留流産となってしまいました。2度目の流産後 に不育症検査をしたところ、抗核抗体のみ陽性でしたが、「それが流産の原因とは言 いがたい。実際には年齢要因が流産の原因。今は治療を急ぐことが一番の治療」と いう担当医の回答です。 このまま同じ治療をくり返すしかないのか、不安と疑問でいっぱいです。本当にこれ 以上できることはないのでしょうか? 残りの限られた治療時間を悔いの残らない ように送りたいので、アドバイスを伺いたいと思っています。

誘発法を変えてみる

3回の胚移植で、いずれも稽留流産という結果で、この先の治療に不安を感じています。
石川先生 これといった原因がわからないので、余計におつらいのだと思います。
治療歴を拝見して一つご提案したいのは、排卵誘発の方法を変えてみるということ。
なのはなさんは、ショート法とロング法を行った後、内服薬のクロミフェンを使ったマイルド法による卵巣刺激も行っておられるようですが、まだアロマターゼ阻害剤を使ったマイルド法を試しておられないようです。
一度、クロミフェン以外の薬でマイルド法を試してみられてはいかがでしょうか?
アロマターゼ阻害剤とは、日本では 10 年ほ ど前から広く使われるようになった乳がんの治療薬で、フェマーラ ® 、アリミデックス ®などが知られています。
排卵誘発剤として認可されている薬ではないため適応外使用となりますが、原因不明の不妊、特に 40 歳以上の患者さんに、アロマターゼ阻害剤が有効なケースが多いと学会でも報告されていますね。

誘発法で受精卵の質は変わる?

排卵誘発法を変えることで、受精卵の質を上げるということですか?
石川先生 そうです。当院でも最初から使う方はあまりいなくて、クロミフェンによるマイルド法、ショート法、ロング法などを試して結果が出なかった後の選択肢となります。
印象として、クロミフェンによる刺激よりも弱く、採卵数はそれほど多くありません。
ただ、さまざまな治療を試みたものの、もう打つ手がないという場合や、どうしても妊娠や出産に至らないという年齢の高い患者さんに対してうまくいったケースがあります。
なのはなさんの治療歴を見ると、ショート 法、ロング法ともに採卵数は多いけれど、受精卵があまり胚盤胞まで到達していないようですね。
もう一度、別の薬でマイルド法を試してみてほしいと感じました。

着床後に打つ手立て

担当医からは、流産の原因は加齢なので、急ぐようにすすめられたようです。
石川先生 不育症の検査もされていて、異常はほぼ見当たらないのですが、次に胚盤胞移植をされる際は、着床後すみやかに、抗凝固療法としてアスピリンやヘパリンの投与を行うのも一つの手です。
年齢が高いとはいえ、すでに3回も流産を経験されているので、たとえ検査で陽性が出なくても、血液の流れを良くする不育症のための処置を考慮すべきです。
今後、試してみたいと書いておられた漢方・柴苓湯の服用もいいでしょう。
凍結胚がまだあるとのことですが、可能な 状況であれば移植できる受精卵の候補を増やすという意味でも、誘発法を変えて新たに採卵することはいいと思います。
いずれにしても、受精卵の質と、子宮側の着床環境の向上、その2本柱でできることは何でもやっておくことがいい結果につながると思います。
難しい治療ではありますが、諦める前にできることはまだありますので、悔いの残らない治療をされることを祈っています。
※抗核抗体:自分の体を構成している細胞成分に対し免疫反応を起こし作られる自己抗体。
※不育症:妊娠するものの胎児が育たず、流産(妊娠22週未満)や早産(妊娠22週から37週未満)をくり返し、生児が得られない場合をいう。 出生後1週間以内に死亡する周産期死亡も不育症に含まれる。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。