排卵後、高温期に入るまで 4日かかってしまいます。 これは黄体ホルモンの異常?
臼井 彰 先生 東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精 グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995年より現在の東 京・亀有にて産婦人科医院を開業。外来には日枝神社の「子宝のお守り」 と「安産のお守り」が。患者さんたちの願いが叶うよう、毎年、お正月には新 しいものをいただいてくるそう。大ファンの読売ジャイアンツが調子を落とし た時も、ひたすら神頼み!?
ふーみんままさん(33歳)からの相談 Q.2人目の出産を希望して半年が経ちました。過去に流産・死産の経験があり、1人目は 不育症の治療をしながらの妊娠継続、出産でした。生理周期は28~30日ですが、低温期が16~18日、高温期が12日です。排卵検査薬も使用してチャレンジしている のですが、なかなか授からず、だんだん不妊ではないかと考えるようになりました。排卵 後、高温期に入るまで4日ほどかかっている感じなので、「黄体ホルモン異常なのかな ……」と思ったりもしています。 来月、不妊専門クリニックの予約をしましたが、基礎体温からわかる不妊の原因はありま すでしょうか。
基礎体温の正確性
基礎体温をつけたら、排卵後、高温期に入るまでの期間が少し長くて心配だということですが。
臼井先生 ふーみんままさんは、4日ほどかかるということですね。
だいたい1~2日くらいで高温期に移行するのが正常と考えられていますが、皆がその期間でピッと上がるわけではなく、人によって上昇の仕方に違いがあるようですね。
きれいに上がっていく人もいれば、数日間でだらだらと上がっていく人も。
周期ごとに上がり方が変わってしまうケースもありますし、基礎体温の測り方でも違いが出るようです。
ふーみんままさんは、毎月 28 ~ 30 日周期で きちんと生理が来ているようですし、高温期も 12 日間キープできています。
高温期は 12 ~14 日くらいが理想といわれていますが、 10 日以上あれば、黄体機能に関しては問題ないと思います。
生理周期も 25 ~ 35 日の間ならば、心配されることはないと思いますよ。
高温期と黄体機能
高温期が短いと不妊の原因になることがあるということですか?
臼井先生 やはり黄体機能に問題がある方が多いですね。
卵胞の成熟状態が悪く、排卵が遅れてしまう。そうすると黄体ホルモンの分泌が悪くなってしまいます。
二相にならず、ばらつきのある方はうまく排卵していなかったり、無月経に近い状態の方が多いです。
また、低温期が9日よりも短い、9日目ま でに排卵してしまう人もあまり良い状態とはいえませんね。
そのような方は早くに卵胞が大きくなってしまう。
生理になった時にすぐ卵胞ができてしまうことが多いようです。
そうなると、卵胞の成長に子宮内膜の状態が追いつかなかったり、卵子の質が良くないといったことが起こり、妊娠率はぐっと低くなってしまいます。
トータルに診断
この方の場合は、それほど心配されることはないのでしょうか。
臼井先生 基礎体温をつけるのはとてもいいことだと思います。
ただし、あまり神経質にならないように。
あくまでも情報の1つであり、基礎体温だけで不妊の原因が正確にわかるわけではありません。
医療側では他にも、ホルモン検査や超音波検査など行い、トータルで診て不妊の原因を探っていきます。
また、基礎体温と排卵検査薬できちんと排 卵日をチェックして自己タイミングをとられているようですが、排卵日を狙いすぎると、かえって妊娠しづらくなるケースもあるのでは。
当院では排卵日だけではなく、それ以外の日も仲良くされて、夫婦生活の回数を増やしていただきたいとお話ししています。
ふーみんままさんは、お1人出産されてい ますが、今はその時とは体の状態が変化していることも考えられます。
来月、不妊専門クリニックを受診されるということですが、その時にきちんと超音波で排卵の状態を確認したり、ご主人ももう一度精液検査を受けてみられることをおすすめいたします。