根元からの卵管の詰まり。FTか体外受精か選択を迷っています

臼井 彰 先生  東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院 で久保春海教授の体外受精グループにて研 究・診察に従事。医局長を経て、1995 年 より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を 開業。2004 年より不妊専門の治療センタ ーに。1階と2 階の待合室のソファを張り 替えて、院内が明るい雰囲気に。夏の日差 しのような鮮やかなオレンジ色が、心まで 温かく元気にしてくれる。
いちごクラブさん(33歳)Q.今年初めて不妊専門の病院で検査をしたところ、①卵巣年齢が45歳くらいと高 い②右側の卵巣が根元から詰まっていて通っていない③ヒューナーテスト1回の結 果、精子はあるものの動いていない、ということが判明。夫の精液検査はまだし ていません。先生には「精子に異常がなければFTと腹腔鏡手術を受けて自然妊 娠を目指し、妊娠しなければ人工授精体外受精にステップアップを。早めに進 めたほうがいい」と言われました。インターネットで調べると、根元から卵管が詰まっ ていると手術しても通りにくいことがあるとか。夫も私も自然妊娠を希望していま すが、卵巣年齢が高く時間がないだけに、手術か体外受精か迷っています。

卵管鏡下卵管形成術

手術か体外受精かで悩んでいらっしゃるとのことですが、まずFTについて、どのようなものか教えていただけますか。
臼井先生 FTとは卵管鏡下卵管形成術という施術で、卵管の詰まりや癒着を解消し、通過障害を改善するために行うものです。
卵管の入り口を見つけ、そこからカテーテルを挿入して治療していきますが、熟練した医師であれば所要時間は 10 分程度。
入院の必要はなく、外来で処置を受けることができます。

FTとラパロ

いちごクラブさんは「根元から詰まっている場合、FTの効果は低いのでは」と心配されていますが。
臼井先生 卵管の先端である卵管采に近い場合はラパロ(腹腔鏡手術)のほうが癒着剥離などを行いやすいのですが、根元が詰まっている場合はラパロではアプローチしづらく、むしろFTのほうが効果が高いといわれています。
FTとラパロを同時に行うこともありますので、いちごクラブさんの担当の先生も、両方の施術を行って卵管を完全な状態に回復しようと考えていらっしゃるのではないでしょうか。

状況に応じたステップアップ

手術と体外受精、どちらを選択したほうがいいのでしょうか。
臼井先生 ご主人はまだ精液検査を受けられていないということですが、その結果にもよると思います。
精子の状態もヒューナーテストの結果も悪い場合は、自然妊娠の可能性はさらに下がってしまいます。
その場合は、卵管以外の因子も影響しているので、FTを行っても厳しいかもしれません。
ですから、精子に問題がなく、ご夫婦が自然妊娠を望まれるようであれば、FTを選択されてもいいのでは。
卵巣年齢が高いと心配されていますが、急激に卵巣の機能が落ちるということはないと思いますので、術後、半年くらいはタイミング療法、もしくは再度のヒューナーテストの結果によっては、人工授精を試してみてもいいのではないでしょうか。
そして、半年ほどトライして結果が出ない場合は、次は体外受精というステップアップを考えることになってくるでしょう。
1回あたりの妊娠率でみれば、やはり体外受精のほうが妊娠率は高くなりますが、ご夫婦が納得して治療に進むことが大切です。
自然妊娠にこだわられているのであれば、FTを選んでもいいのではないかと思います。
先生のお話をよく聞いたうえで、妊娠率、経済的な問題などをご夫婦でよく話し合って、後悔しない治療法を選んでください。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。