情緒不安定は ホルモン剤の影響?鬱になりそうで不安です

福井ウィメンズクリニックは、カウンセラーをはじめ 専門知識のあるスタッフを積極的に治療に参加させています。 カウンセリングの必要性について伺いました。

カウンセラー・培養士 大下 里衣 さん(写真右) カウンセラー・助産師 杉山 弥生 さん(写真左)福井ウィメンズクリニックでは、予約制のカウンセリン グのほかに、ファーストカウンセリングやセミナー開催 も積極的に行っています。「治療に関わるうえで、患者 さんとの何気ないコミュニケーションも心掛けながらカ ウンセリングに取り組んでいます。医師と患者さんとの 懸け橋になって、よりよい治療の手助けができればと、 日々努力しています」とお二人。

ドクターアドバイス

新たな治療を開始する時期には不安がつきものです。 一人で悩まず、ご主人やカウンセラーに気軽に相談して
プリンさん(専業主婦・29歳)からの投稿 Q.自己流のタイミングを2 年間続けて授からず、不妊治療を開始。 原因不明不妊で、今回で5周期目です。4周期目より、クロミッドⓇ +HCG+デュファストンⓇの治療を開始しましたが、その頃から 情緒不安定が激しく、イライラするというかメソメソと泣くように なりました。両親や夫の優しい気遣いに泣いたり、涙もろくなって 感情のコントロールができなくなっています。ホルモン剤の影響 なのでしょうか? 自分が鬱になりかけているのかと心配です。

ホルモン剤の影響?

まずは、福井先生にお伺いします。ホルモン剤を投与すると、精神面に影響があるのでしょうか?
福井先生 プリンさんは、4周期目からホルモン剤の投与を開始し、その頃から精神的症状が出ていることから、薬剤とまったく無関係ではないかもしれません。
はっきりした因果関係は不明ですが、主治医の先生に相談され、薬剤の一時中止や変更を検討してもよいかもしれません。
カウンセラーの大下さんと杉山さんにお聞きします。プリンさんのように、情緒不安定になられる方はいらっしゃいますか?
杉山さん そうですね。
ホルモン注射をしたということで、自分の体への不安や気持ちの揺れ、治療という非日常的なこと、妊娠への期待など、いろいろなことが交錯して、ストレスを感じる方は多いです。
悩んでいるのに、診察時間が限られていてドクターになかなか相談できなかったり、優しい家族にも相談しにくい場合もありますよね。
自分でも気付かないうちに、ストレスをためこんでしまうのでしょう。
プリンさんのご相談内容を拝見すると、おそらく不妊治療の、初めてのステップアップの段階なのだと思います。
このような段階では、誰もが新しい治療への期待と不安が入り混じります。
皆さん精神的に不安定な状態になると思います。

気持ちを整理していく

そのような時は、カウンセラーとしてどう対応していますか?
大下さん 不妊治療を進めていく中での不安が、特別な感情ではないことを理解していただいたうえで、状況を整理していきます。
不安で気持ちが交錯していても、話すことで気持ちの整理がつき、少しずつでも自分を見つめることができるようになっていくと思います。
また、パートナーであるご主人との関係や、治療への取り組みなどに着目し、ご自身だけの問題ではなく、お二人の問題として捉えて進んでいくことを再認識していただきます。
奥様まかせになりがちな不妊治療においては、ご主人の位置付けはとても大切であると考えています。
ご夫婦でカウンセリングを受けるのもいいですね。
また、不妊治療に専念してしまうと、先の見えない治療の中で気分が落ち込んでしまいます。
趣味や旅行など気分転換をし、息抜きしながら上手に付き合っていくことをおすすめします。

ご主人の参加も

杉山さん ご主人へのアプローチは難しいと思いますが、クリニックへ一緒に来てもらい、その時間を共有するだけでもいいと思います。
何らかの方法でご主人にも参加している意識を持ってもらうといいですね。
そうすると、ご主人に治療状況や悩みを伝えやすくなりますし。
コミュニケーションをしっかりとっていれば、奥様一人で思い悩んでしまうことも避けられると思います。

カウンセラーの役割

不妊治療における、カウンセラーの役割はどうお考えですか?
大下さん 患者さんはそれぞれの悩みを抱えて相談にいらっしゃいます。
そんななか、ご自身の思いやご夫婦の希望に耳を傾け、納得して治療を進めていけるようにサポートしていきます。
誰にも相談できない思いを抱えて来られることが多いだけに、話すことで気持ちが楽になったり、知ることで不安が解消したりすることがよくあります。
また私たちカウンセラーは、より身近な存在だと思っていただけるように、常にオープンな姿勢を心掛けています。
皆さんに気軽にカウンセリングを利用してもらいたいと考えているのです。
当院では、体外受精を行うご夫婦には夫婦面談を行っています。
そこでは、ご主人の質問する姿を見て「こんなに治療や自分のことを考えてくれていたんだ」と、奥様が感動することも多いんですよ。
普段お二人では伝えにくかったり、伝わらなかったりすることを、ここで伝え合えるのは、私たちにとっても嬉しいことです。
反対に、ご主人と話すきっかけがなかなか持てないという方は、こちらからアプローチして、そのお手伝いをしたりもします。
体外受精の際は特に、培養士の立場で治療経過も交えてお話しするように努めています。
杉山さん 私たちカウンセラーは、治療を円滑にするための潤滑油のような役割ができたらと考えています。
そのためにも、患者さんと信頼関係を築いていくことが重要なポイントです。
不妊治療は、ご夫婦で治療選択をして進んでいくスタイルです。
お二人が納得して自分たちに合った選択をしていただくためにカウンセリングがあると考えています。

セミナーも活用しよう

こちらではカウンセリングやセミナーも開催されていますね。
大下さん 2〜3カ月に一度、「不妊セミナー」を開催しています。
ご夫婦で参加していただき、妊娠の成立・検査・治療など、一般的な不妊治療についてお話しします。
また、治療を始める際には最初に「ファーストカウンセリング」を行い、ご夫婦の治療に対する希望や思いを伺います。
それと同時に患者さんの背景や悩み、不安もできるだけお聞きし、これらの情報を医師に伝え、治療へつなげていきます。
福井先生 医師としても、カウンセリングは、治療を進めていくうえでとても重要だと思っています。
当院の場合は、開院から不妊治療を続けていくなかで、必然的に現在のような形になってきました。
彼女たちカウンセラーからの患者さんの情報は、治療に生かしています。
また、当院は不妊治療だけでなく産院を併設していますので、今後も試行錯誤しながら、カウンセリングをもっと充実させたいと考えています。
福井 敬介 先生 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局、 愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。 2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供し たい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。A 型・やぎ座。「治療を スムーズに進めるためにも、カウンセリングは重要です。当院では相談窓 口的にカウンセリングを設けていますから、構えずに、医師やご主人に相談 できない時はカウンセラーに気軽に声を掛けてみてくださいね」と先生。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。