医療と無関係ではない【医師監修】

【医師監修】福井 敬介 先生 1989年、日本大学医学部卒業。卒業と 同時に愛媛大学産科婦人科に入局、愛媛 大学大学院医学専攻科修了。2000年愛 媛大学産科婦人科学助教授。2001年、 「高度な生殖医療をより身近な医療として 不妊カップルに提供したい」と、福井ウィ メンズクリニックを開設する。A型・やぎ座。 プライベートでは「オルギーズ」というバン ドを組んでいる福井先生。担当はキーボ ードで、取材した日も「今から練習に行く んです」と、忙しいなかでも充実した時間 を過ごされている様子。

ドクターアドバイス

医療と無関係ではない 健康補助食品の一つ。 食生活の改善を優先し、 そのうえで補うといいと思います

サプリは予防医学

先生は、サプリメントをどのように位置づけていますか?

福井先生 サプリメントについては患者さんからもよく相談を受けますが、あくまで健康補助食品であると考えています。

なかには、トクホ(特定保健用食品)として認可されているものもありますし、葉酸のように妊娠時の神経系異常を予防するとして厚生労働省が推奨しているものもあります。

これらはある程度の実証がありますから、医療と無関係ではないですね。

しかし、卵子の質や精子を増やすといった目的で認可を受けているものはなく、きちんとしたデータもありません。

不妊に有効とされるサプリメントはないのが現状です。

こういった面から、やはり予防医学としての位置づけになると考えています。

また、不妊症に悩んでいらっしゃる方は、「何かに頼りたい」という気持ちをお持ちだと思います。

治療だけではなくて、心の支えになるようなもの。

そういう役割もあるのではないでしょうか。

まずは食生活の見直し

治療のサポート役として、安心感にもつながるということですね。先生から患者さんに服用をすすめることはありますか?

福井先生 たとえば、卵子の質を上げたいと悩む方に対しての特効薬はありませんよね。

ですから、具体的に「このサプリメントを取り入れなさい」とは言いません。

基本的には患者さんご自身の判断になります。

健康という枠でいえば、たとえばアンチエイジングや微小血流・循環に対して効果が実証されているサプリメントもあるでしょう。

血流や代謝アップを含め、薬剤としてのビタミンを処方することもあります。

しかし、実際にどれだけ有効かというデータはないのが現状です。

あくまで補助的な食品であるという観点から、患者さんにすすめています。

それよりも、近年は食生活が乱れている方が多いと感じますね。

必要な栄養は食品から摂取することが一番ですから、まずは食生活を見直すことが第一です。

栄養指導などを行ったうえで、個々に足りない分は状況を見ながら、相談しながら補っていくようにしています。

これから不妊治療をするかどうか迷っているというような、まさにグレーゾーンにいる方は、食生活の改善をされたうえでサプリメントを取り入れてみてもいいのではないでしょうか。

医師への相談

サプリメントを選ぶ際に注意すべきことを教えてください。

福井先生 一般に販売されているサプリメントは、摂取して悪いものではないと思います。

鉄分やミネラル、ビタミンなどは、検査で不足していることがわかります。

医療用サプリメントもありますから、主治医に相談してみましょう。

ただし、なかには副作用をともなうものもあります。

たとえば、個人輸入できる商品で、DHEAやメラトニンなどのホルモンを主としたサプリメント。

検査結果によっては病院から処方することもありますが、自己判断で摂ると治療に影響しかねません。

迷われる場合は、担当の先生に相談することが大切だと思います。

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