内膜の状態をきちんと調べて

吉田 仁秋 先生 獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦人 科学教室入局、不妊・体外受精チーム研究 室へ。米国マイアミ大学留学後、竹田総合 病院産婦人科部長、東北公済病院医長を経 て、吉田レディースクリニック開設。4年前 より産科・婦人科と施設を分け、不妊治療 専門のARTセンターを設立。今季、快進撃 を続けているJリーグ”ベガルタ仙台”は地 元の希望の星。チームのモチベーションの上 げ方、個性の強い選手たちのまとめ方など、 病院長として監督から学ぶ面がたくさんある とか。

ドクターアドバイス

受け入れ側の内膜の状態を きちんと調べて ベストな環境に整えることも 重要だと考えています

着床不全の原因

受精卵がなかなか着床しないのは、どこに原因があるのでしょうか。

吉田先生 卵子側だけではなく、受け入れ側の子宮内膜に問題があることも考えられます。

当院では、胚盤胞で2〜3回戻しても着床しない場合は、どこに問題があるのかチェックします。

胚盤胞まで成長しているのであれば、卵子ではなく受け入れ側に問題があるかもしれないので、着床不全マーカーという検査を行っているのです。

この検査は、採血して、抗リン脂質抗体、ループスアンチコアグラント、抗核抗体、第 12 因子などの免疫因子を調べるものです。

これらの因子があると着床不全を引き起こす可能性があるといわれているので、たとえば抗核抗体で異常がみられた場合は低用量のバファリンⓇを投与するなど、薬物による治療を行います。

その他の検査方法

ほかに着床障害の原因を調べる検査はありますか?

吉田先生 子宮内膜の状態を調べる方法として、子宮鏡検査も実施しています。

これは細い内視鏡を子宮口から挿入して子宮の内腔を診るものですが、エコーよりも詳しく内膜の状態を調べることができます。

着床を妨げるポリープや異物がないか確認し、さらに生検といって組織の一部を採取します。

病理組織学的に診ると、内膜の受け入れ状態が受精卵の成長にきちんと合っているかどうかを調べることができるのです。

着床には、受精卵と子宮内膜の同期化が重要な条件になりますから、合っていなければ内膜組織を削るなどしてズレを修正していきます。

組織を削り取るのですか。

吉田先生 はい、移植前の周期に子宮の内膜を少し削り取ったり、吸引細胞診を行います。

そうすることで、傷を修復して細胞を新たにつくるようなサイトカインという物質が子宮内に分泌され、内膜がいい状態に整えられるのです。

当院でも行っていますが、外国の論文でもこの方法で着床に至ったケースが多く報告されています。

着床と、子宮内膜

受精卵が着床するためには子宮内膜の環境がとても重要なんですね。

吉田先生 子宮内膜がみずみずしく、ウォーターベッドのような状態になっていないと受精卵がうまくくっついて進入していけません。

みずみずしいというのは、つまり血管が豊富だということです。

着床するためには子宮内膜の血管の新生がとても重要になってくるのです。

血管を増やすためには、どうすればいいでしょうか。

吉田先生 当院では、血液の流れをよくするために、ビタミンE製剤やペントキシフィリン、プロゲステロンの座薬、漢方薬では柴苓湯 などを処方しています。

日常生活では、冷えがある方には半身浴やウォーキング、ストレッチ、ヨガなどをおすすめしていますね。

喫煙やストレスは血流を滞らせる原因となりますから、禁煙や気分転換も必要です。

また、アルコールの摂りすぎで肝臓の状態が悪くなっていると、血流障害を起こして子宮内膜が薄くなってしまうことがあるので、過度の飲酒も控えたほうがいいでしょう。

着床率を上げるための特効薬的な治療法はまだ見つかっていませんが、だからこそいろいろなことを試す価値があると思います。

諦めずにトライしていただきたいですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。