着床率、妊娠率ともに 自然周期より高いため、 当院ではホルモン補充周期で 戻すのを原則としています
ホルモン補充周期の強み
凍結胚移植の際、自然周期、もしくはホルモン補充周期で戻すという2つの方法がありますが、こちらのクリニックではどちらの方法で戻されることが多いですか?
吉田先生 当院では、原則としてホルモン補充周期で戻しています。
というのは、以前、2つの方法に分けて臨床データをとって調べたところ、ホルモン補充周期で戻したケースのほうが、着床率、妊娠率ともに高かったのです。
その時は 10 %の差がありました。
ホルモン補充周期のほうが着床率や妊娠率が高くなるのは、なぜでしょうか。
吉田先生 確かな理由は解明されていませんが、私の考えでは、ホルモン補充周期だとインプランテーション・ウインドウ(胚の着床に子宮内膜が最適な状態となっている期間)を確定することができるからだと思います。
自然周期の場合は、月経周期によって排卵のタイミングが異なってくるので、着床させるのに適した時期も人によってばらつきが出ます。
ホルモン補充周期だと、それをある程度修整することができるんですね。
胚移植の時期があらかじめ予測できますし、胚と子宮内膜を同調させることができ、着床に適したベストな状態に整えられます。
自然周期の通院負担
自然周期の場合、どのように胚移植の時期を見極めていくのですか?
吉田先生 ホルモン値や超音波で排卵の時期を予測します。
そして子宮内膜の状態も並行してチェックしながら、排卵しそうになったらHCGの注射を打ち、5日後くらいに戻す……というスケジュールですが、特に年齢が高い場合は、なかなか卵胞が育たず、排卵の見極めが難しい方もいらっしゃいます。
そうなるとチェックのために何度も来院しなければならず、患者さんの負担も大きくなってしまう場合があります。
ホルモン周期のメリット
ホルモン補充周期の場合は?
吉田先生 生理の1日目にエストロゲンの貼り薬を貼っていただき、 14日目に子宮内膜の状態をチェック、15 日目からは黄体ホルモンを座薬で補充し、分割胚であれば 17 日目、胚盤胞であれば 19 日目に移植する、というのがだいたいのスケジュールです。
子宮内膜が厚くならない方は経口薬の投与や注射という方法もとっていきますが、ほとんどの方は胚移植まで2回の通院で済みます。
それは負担を軽減できますね。
吉田先生 貼り薬を貼ったり、座薬を入れたりという手間はありますが、通院の回数は大幅に減らすことができるので、働いている方には適した方法ではないでしょうか。
このようにホルモン補充周期はメリットが多くありますが、なかには自然周期が合う方もいらっしゃいます。
医師はそれを見極めて、採卵から胚移植まで、それぞれの患者さんに適した方法をチョイスしなければいけないと思っています。