ファーストチョイスはホルモン補充周期で融解胚移植。

古井 憲司 先生 1986 年日本医科大学卒業。 1987年名古屋大学 産婦人科学教室入局後、名古屋大学産婦人科で文 部教官を務める。さらにその後、大垣市民病院産 婦人科医長を経て、1998 年クリニックママを開院。 院内のカフェやインテリアは、とても洗練されており 癒されます。ハローウィンやクリスマスなど、シーズ ンごとの華麗なデコレーションも楽しめます。

内膜の厚さは重要

着床率を上げるために、一番必要なことは何だと考えますか?

古井先生 着床率を上げるためには、やはり内膜の厚さがある程度重要な要素になると思います。

そして、内膜を十分な厚さにするためには、様々な治療の選択肢があります。

また、排卵誘発をどんな方法で行うかによっても違います。

ミニマムスティムレーション(低刺激排卵誘発法)という、クロミッドⓇを内服しながら、後半、少量のHMG製剤を隔日で注射するという方法がありますが、クロミッドⓇは薬剤自体に子宮内膜を薄くする性質があります。

このように着床にとって不利な排卵誘発を行う場合、新鮮胚移植をするかどうか?が課題になります。

私はミニマムスティムレーションの場合は、内膜がすごく厚ければそのまま新鮮胚移植する場合もありますが、通常は一旦凍結保存して、ホルモン補充周期か自然周期で胚移植をしています。

その他のバリエーション

一旦、凍結保存するのですか?

古井先生 着床率を上げる工夫として、まず受精卵を胚盤胞まで育てて受精卵のグレードを十分見極めた上で、ガラス化法(ヴィトリヒケーション法)にて良質な胚盤胞を凍結保存します。

そして、凍結保存した受精卵を融解して戻す際には、ホルモン補充療法を行います。

つまり、ホルモン剤で内膜を十分厚くしてから戻すのです。

クロミッドⓇを併用した場合は特に着床に不利に働くので、基本的には全胚凍結後に融解胚移植を行っています。

それでもうまくいかなければ、自然周期で戻すこともあります。

それでもダメな場合は、排卵誘発剤のHMG製剤を連日注射して内膜を育てます。

採卵する時のように卵子も育ってしまいますが、同時に内膜が厚くなる場合があります。

そこへ基本的には採卵はせずに戻すという方法です。

それでうまくいったケースも何例か経験しています。

内膜を厚くするための一つの手段ですね。

また、子宮内膜が十分厚くて受精卵もよいのに着床しない患者さんのケースで、シート法を何例かトライしたところ、かなりの確率で妊娠されました。

すべての人に合うものではないと思いますが、私は選択肢に入れる価値はあると思います。

他には、レーザーアシステッドハッチングという方法もありますね。

融解胚移植の際に、凍結胚の透明帯は固くなると言われています。

そのためハッチング障害が起こる可能性があり、レーザーで透明帯を薄くしたほうがよいと言われています。

私は、生殖医学会でも発表しましたが、透明帯が厚い症例には意味のある方法かもしれませんが、全ての症例に必要だとは考えておりません。

オーダーメイドのの治療

HMG製剤を使う方法もあるのですね。

古井先生 最初にたまたま選択した方法がその人に合っていればよいのですが、合わない場合もあります。

ホルモン補充周期は着床率が高いので、まずこれを選択します。

しかしホルモン補充周期で内膜が十分に厚くならない場合には、自然周期で戻したり、HMG製剤を注射して子宮内膜を厚くしてから戻す場合もあります。

患者さんごとに年齢・子宮内膜の状態は異なっていますので、治療方針も多様になるのは当然です。

全ての患者様に万能な治療法はありません。

ですから不妊治療は、オーダーメード医療であるべきなのです。

※HMG(製剤):卵胞の発育を促すヒト下垂体性性腺刺激ホルモン剤。排卵誘発薬の1つ。

※ガラス化法:卵子や受精卵などに氷の結晶ができて傷めないように、組織内の水分を特別な保存液で置き換え、液 体窒素で急速に凍結する方法。

※シート法:受精卵を胚盤胞まで培養する際に使用した培養液を凍結しておき、まずそれを胚移植の2 ~ 3 日前に子宮内に注入し、その後、胚移植する。培養液に含まれている 成分が子宮内膜に作用し、着床しやすくなる。

 

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