体験者4人に聞いた自己注射

使った人に 聞いてみよう !体験者4人に聞いた自己注射

「正しく使用すれば安全。管理も簡単です」

不妊治療において自己注射が選択されるケースが増えていますが、 実際に使っている方は、どんなふうに感じているのでしょうか? まだ自己注射を使ったことのない皆さんが気になるところを、 『ジネコ』に寄せられた4人のユーザーの方の体験談を交えながら、 本誌連載「心の玉手箱」でもおなじみの田村秀子先生にお話を聞きました。

田村秀子先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院 に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したのを機に、 義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995 年に不妊部門 の現クリニックを開設。繊細な感性を秘めた、おおらかな人柄が 魅力の先生は、A 型・みずがめ座。2010 年10月、『男が知りた い女の「気持ち」 永遠のナゾに女医が答える』(講談社・ブルーバッ クス)を上梓。生理中や妊娠中などの、女性特有の心と体の感覚 を女医の視点から解説した注目の新書です!

自己注射は糖尿病の治療などで すでに確立された技術

不妊治療をしている方から、「使ってみたい」という声が多く寄せられている自己注射。しかし、「注射」というイメージから、使用をためらっている方もいらっしゃるようです。

では、実際に使用している方は、どんなふうに感じていらっしゃるのでしょうか?

そこで今回は、実際に自己注射を使用したことのある4人の方に体験談をお聞きし、田村秀子婦人科医院の田村秀子先生に、自己注射のさまざまなメリットについて、お話を伺いました。

田村先生 当院では、在宅自己注射が保険適用となった2008年当初より、ペン型自己注射器による自己注射を採用しています。

使い方が簡単で、ペン型という見た目にも安心感があるようで、最近は患者さんのほうから自己注射について質問されることも多いです。

とはいえ、実際には〝自分で自分に注射を打つ〞という初めての経験に、不安を覚える患者さんもいらっしゃいますね。

ふきちゃんさん 私は使用前は、薬液や針を自宅で管理することの安全性に少し不安がありました。

でも実際使ってみたら、ペン型自己注射器は、薬液をセットする時と針を着脱する際、残液の薬液の保存時に注意するくらいで大丈夫。

それほど神経質になる必要はないのだと安心しました。

田村先生 そうですね。私がまず患者さんにお話をする時は、自己注射は糖尿病やその他の疾患の医療現場で、すでに確立された治療法だということを伝えています。

特にペン型自己注射器は、誰でも安全に使えるように作られていて、広く普及しているもの。

それに、日本の厚生労働省の厳しい審査をクリアして認可されているんです。

だから私はいつも患者さんに「大丈夫。あなたが心配しなくていいのよ」と言っています。

通院にかかる時間や費用 患者さんの負担を軽減

患者さんが自己注射に感じる大きなメリットとしては、通院時間や通院のための交通費が軽減される点がよく聞かれます。働いていて連日の通院が難しい患者さんには、とても便利なものです。

また、自己注射というと、体外受精や顕微授精などの高度な治療の際に使用されるものと思われがちですが、自然周期の間に少量ずつ投薬して卵胞を育てる場合など、田村先生は一般不妊治療においても自己注射を活用されているそうです。

花音さん 通院回数を減らせるので、とても助かっています。

使用方法は病院で丁寧に教えてくれるし、使い方を覚えてしまえば簡単でした。

また、使用済みの針は病院で回収することになっています。

田村先生 遠くから通院されている患者さんには、時間や費用の面でもメリットが大きいですね。

当院でも片道2時間半かけて通院されている患者さんがいて、自己注射をおすすめしました。

熱心に情報収集されている患者さんからは、よく「私も自己注射をやってみたいんですけど」と相談を受けることがあります。

私が感じているのは、低用量から始めて、少しずつ薬剤の量を増やしていく排卵誘発治療にとても適しているということ。

特に強い排卵誘発剤を使えない多嚢胞性卵巣症候群の患者さんには、OHSSの心配も回避できますしいいですよ。

ただ自己注射は治療の内容によって使える場合とそうでない場合がありますので、興味のある方は遠慮せず、ドクターに聞いてほしいですね。

打つ場所はお腹や太もも 実はとても簡単で痛くない

田村先生がユニークなのは、看護師による指導の前に、いつも自分自身の体に自己注射を打って患者さんに見せていること。

なごやかな雰囲気のなかで、少しの談笑も交えながら、注射への恐怖心を「笑い」で包むことにより、怖さを和らげる効果があるようです。

これは、ご自身も不妊治療の経験がある田村先生ならではの、治療中のメンタル面までフォローしてくれる先生独特の方法ですが、もちろん、他のクリニックでも医師や看護師による自己注射の指導が必ず行われています。

自己注射器には、わかりやすい説明書やDVDも付いています。もし心配な時は、クリニックで再度相談してもいいですし、電話対応しているクリニックもあります。

夏みかんさん 私の通うクリニックでは、必ず使い方の指導があります。

ひと通り説明を受けて、看護師さんに見てもらいながら自分で打ちましたが、打つ場所さえ間違えなければ大丈夫なので安心でした。

田村先生 当院でも、看護師が正しい自己注射の使い方を指導しますが、やはり看護師が見ている前で、一度、患者さんに自分で注射を打ってもらうことが大切ですね。

注射を打つのに最も適した場所は、お腹や太もも。

私はいつも患者さんの前で、薬剤は入れずに自分の太ももに打って見せてあげることにしています。

「こんなに簡単で痛くないのよ〜」って(笑)。

血が出る場合もあるかもしれませんが、それはたまたま細い血管に当たっただけですから、心配しなくて大丈夫。

通常の筋肉注射より針も細いし薬剤も少ないので、ビックリするくらい痛みを感じないと思いますよ。

安全なカートリッジ型で 薬剤の準備も簡単

薬剤の入ったカートリッジをカートリッジホルダーに装填し、注射針を交換することで繰り返し使えるペン型自己注射器。

備の手順もイラスト入りの説明書を見ながら行えば簡単です。

使用済みの針は回収用の安全容器に入れて持参すれば、クリニックが医療廃棄物として処分してくれる点も安心です。

natureさん 私もはじめは、自己注射が怖かったし不安でした。

薬の準備がうまくできないとか、どうしても怖くて針が刺せないとか、打っている途中に何かトラブルがあったらどうしようとか……。

でも、もしうまくできなくても、クリニックでやり直してもらえば済むことなんだ、と思ったら気が楽になりました。

心配な方は万が一の場合に備えて、クリニックに相談できる時間帯に行うと、より安心だと思います。

田村先生 時々、カートリッジホルダーへ薬剤の入ったカートリッジをセットすることに、ものすごく不安を感じる方がいらっしゃいます。

そもそも、医療従事者でなければ注射を打つことができない理由は、薬剤の入ったアンプルをカットする時に、微少なガラス片が発生して、薬剤に混入する危険があるからなのです。

でも、ペン型自己注射器に使うカートリッジはきちんとゴムで密封されていますので、薬液は一方通行。薬剤は出ていくだけで異物が入ってくることはありません。

ですから、薬剤のセットも安心して行っていただけます。

当院でも、今までそのようなトラブルはありませんが、慣れないうちやどうしても心配な方は、クリニックの受診時間内に使用するのもいいでしょう。

自己注射は、使い方を覚えれば、便利で痛みも少なく安心です。

みなさんの治療の選択肢として、役立てていただきたいですね。

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