正しい知識でパートナーをサポート
タイミング療法をしている時、 夫とうまく性行為ができなかったということはありませんか? それはもしかしたらプレッシャーからくるEDかも。 どのように解決したらいいのか、男性不妊を専門とする 「恵比寿つじクリニック」の辻先生に お話を伺いました。
男性不妊症の3~4割を 占める「ED」とは?
不妊の原因は女性だけではなく、半分は男性側にも原因があるといわれていますが、男性不妊の原因にはどのようなものがありますか?
辻先生 主なものとしては精子の数が少ない乏精子症やまったく精子が見られない無精子症、その原因の一つともなる精索静脈瘤などがあります。
また最近は、EDも不妊の原因として注目されるようになり、男性不妊症といわれる方の3~4割はEDで悩まれているのではないかと思います。
EDとはどんな病気なのですか。
辻先生 EDは「Erectile Dysfunction 」の略で、日本語で表現すると「勃起障害」。
性交を行うに十分な勃起が得られないことを言います。
EDの患者さんは 20 代前半から 80 代までの幅広い年齢層にわたっており、現在、その患者数は全国で1000万人と推定されています。
タイミング療法中の男性の ほぼ100%がED状態 !?
不妊治療をしている女性へのアンケート結果では、「排卵日の性行為中、夫が射精できなかったことがある」と答えた方が約4割もいたのですが、これもEDなのでしょうか。
辻先生 不妊治療の7割がタイミング療法といわれています。
この療法をされている男性のほとんどの方がEDの状態になっているといえるのではないでしょうか。
「その日に性交をしなければいけない」というプレッシャーからきているのだと思います。
女性側は準備が整っていますが、男性はそれがストレスになっているのですね。
辻先生 性欲という情動的なものをスケジュール化されると男性はなかなかそれについていけません。
普段、健全に性交渉を持っているご夫婦だったらストレスになることはないと思いますが、セックスレスの状態が続いているのに急に排卵日の週だけ性交渉をもつというのは難しいこと。
嫌になって、わざと酔って帰宅するという男性もいるのではないかと思いますよ。
当院ではご夫婦で来られる方が半数以上ですが、奥様がいらっしゃらない時にそのような悩みを打ち明ける患者さんが多くいらっしゃいます。
では、タイミング療法中のEDをスムーズに解決するためにはどうすればよいのでしょうか。
辻先生 責めたり、強く促しても、ますますプレッシャーがかかるだけだと思います。
かといって、性交渉をもたなければお子さんはできません。
悩み続けるよりも、バイアグラなどのED治療薬を活用されたほうがいいのではないかと思います。
妊娠されれば必要はなくなるので、その期間だけお薬を飲むというのは賢明な対応ではないかと思いますね。
ED治療薬はどのような作用があるお薬なのですか?
辻先生 簡単にいうと血管を広げて、血液を送り込むお薬です。
勃起させるというより、どちらかというと途中で萎えさせない作用があるものなんですね。
排卵日にEDになる男性には、「中折れ」といって、勃起するけれどなかなか続かないという方が多いのですが、そのようなケースには大変効果があります。
安心安全に服用するなら まず医療機関に相談を
どこで処方してもらえるのでしょうか。
辻先生 一般的な産婦人科や婦人科でも相談すれば出していただけると思います。
婦人科に行くのが嫌だというご主人でしたら、当院のような男性不妊外来なら恥ずかしい思いをしなくてもすむのではないでしょうか。
医療機関以外の個人輸入で入手しようとする方もいらっしゃいますが、そのようなところで販売しているものはほとんど偽造品の可能性が高く、思わぬ健康被害も予想されます。
やはりまず、病院で相談されたほうが安心ですね。
辻先生 ED治療薬は問診と血液検査など簡単な診察と検査で処方できます。
副作用もほとんどなく、持病がある方でも医師に相談したうえで服用すれば安心です。
きちんと受診していただければ、これをきっかけに隠れていた基礎疾患も発見できますよね。
マスターベーションはできるけれど、性交渉はできないという方、2回以上排卵日に性交渉ができなかったという方は、EDの可能性がありますから、ぜひ医療機関にご相談されるといいでしょう。
ご夫婦仲が壊れたり、自然妊娠できるのに体外受精まで進まなければならないのは残念なこと。
そうなる前に早めにお薬で改善されることをおすすめいたします。