治療の負担を軽減し選択肢を広げる自己注射リアルレポート
不妊治療において、いち早く自己注射を 導入した、東京ベイレディースクリニック。 患者さんにすすめる理由や体験した方の反応を、 院長の大塩先生に伺ってみました。
通院や待ち時間など 時間的負担を軽減できます
不妊治療は、治療自体や精神面だけでなく、費用や時間などの負担も大きいもの。負担が大きいという声が聞かれるものの一つに、注射のための通院があります。
一般不妊治療や、体外受精の排卵誘発で行われる注射は、肉体的にもつらいうえ、毎日のように通院しなければいけ
ない大変さがあります。
そんな患者さんの負担をできるだけ軽減しようと、千葉県・浦安にある東京ベイレディースクリニックでは、自己注射をいち早く治療の選択肢の一つとして取り入れました。
大塩先生 自己注射は、一般の方でも扱いやすいペン型の注射器が発売されてから、すぐに取り入れました。
これなら、治療における患者さんの時間的負担を減らすことができると思ったからです。
当院の場合は、ほとんどの患者さんがフルタイムで就労されていて、決まった時間内に注射に来ていただくのは難しい。
また、秋田県や岡山県など、遠方から通院している方もいらっしゃるので、注射のためだけに数日間滞在していた
だくのは、経済的にも大変です。
ですから、そういった方に自己注射をおすすめしています
自己注射は、患者さんはもちろん、施設にとってもメリットが多いそうです。
大塩先生 注射を自宅でしていただくことによって、来院される患者さんの数が少なくなります。
その分、患者さん一人ひとりに、今までより長く診察の時間をとることができます
院内での注射と比べ 治療効果に差はありません
自己注射は、治療においてもメリットがあるのでしょうか。
大塩先生 自己注射だと、院内注射に比べて治療効果や妊娠率が下がるのではと心配される方がいますが、その差はなく、私の経験からみると、むしろよい気がします。
毎回同じ時間に打てるので、血中濃度が保たれているせいか、自己注射のほうが卵胞の形が揃っている方が多いんです
正しく安全に行えば、院内での注射と差はないという自己注射。
大塩先生 自己注射の注意点については、導入前に医師や看護師から詳しく説明と指導をしますから、心配はありません。
院内で使用するバイアル製剤と比較すると、ペン型製剤は薬液の量が少なく、また皮下注射ですから、痛みも少し軽減できます。
自己注射を一つの選択肢として、多くの方に役立てていただきたいですね
はじめての自己注射 指導をレポート!
不安の声も聞かれる自己注射ですが、 クリニックでは、医師や看護師がしっかりと指導し、 使用中も相談に乗るなどのサポートも行っています。
十分な説明と丁寧なケアで 安心して使用していけます
「注射を自分で打つなんて……」と不安に 感じる方もいると思いますが、東京ベイレ ディースクリニックでは、医師と看護師によ るきめ細かい説明と指導で、自己注射に対す る患者さんの不安にもじっくりと丁寧に対応 してくれます。
今回は、実際に使い方を指導 する様子と、体験した患者さんの感想などを、 不妊症看護認定看護師である糸川さんにお聞 きしました。
糸川さん 当院ではまず、医師から自己注射という選 択肢も含めた、インフォームド・コンセント を行います。
そして看護師が、自己注射の仕 方や、メリット・デメリット、費用、緊急時 の対応などを詳しくご説明し、患者さん自身 のご希望を伺います
さらに、注射方法を説 明したDVDやブックレットも配布。
患者さ んが自己注射を十分理解し、納得して導入を 決められるよう、配慮されています。導入を 決めた後は、看護師による練習用の注射器を 用いた丁寧な指導が行われます。
糸川さん 指導は患者さんのご都合に合わせて、個別で 40 分ほどかけて行います。
このように治療 周期前から十分な説明を行っているので、大 きな不安や恐怖を持たれる方は少ないようで す。
指導後、ご自身で自己注射をしてもらう のですが、体験すると〝これならできそう〞 〝思っていたより痛くない〞と安心される方 が多いですね
使用中も不安やトラブルには、併設の産院 と協同して 24 時間体制で電話でも対応してい るそう。施設側の指導やサポート体制が整っ ているから、はじめてでも安心して自己注射 にトライできます。