【医師監修】福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦 人科学教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経 て、1993年福田ウイメンズクリニック開院。「患者さんの意向に 応えるのがプライベートクリニック」という考えは開院当時から変 わらない。転勤などで患者さんが転院する場合、可能な限り転勤 先でのクリニックを紹介。安心して治療が続けられるようフォロー している。O型・みずがめ座
あんずさん(39歳)からの投稿 Q.排卵誘発を ※ ロング法から ※ ショート法に変え、夕方より点鼻を開始し、 翌日、説明を聞きに行くと、担当医は退職したと言われました。次の ドクターは不妊治療がよくわからないらしく、今後のことを相談したら 「とりあえず、昨日から点鼻を始めたわけだから、ショート法でやって いったら?」との回答。不安なので、不妊専門クリニックへの転院を考 えています。治療途中でも転院して治療を継続することは可能ですか?
治療途中の転院
あんずさんのように、不妊治療の途中に転院をするというのはよくあるケースなのでしょうか。
福田先生 通院している患者さんが、ご主人の転勤など、家庭の事情で転院されるケースは当院でもありますが、病院に問題があって治療周期の途中で変えたい、というのはまれなケースかもしれません。
引き継いだドクターは婦人科と兼任で、不妊治療についてはあまり詳しくないとのこと。このまま治療を続けても問題はありませんか。
福田先生 施設自体、ロング法やショート法を実施しているということは体外受精までフォローされていると思うので、大きな問題はないと思いますよ。
担当医が代わっても、治療の方針が前任の先生からしっかり引き継がれていれば、内容がぶれることはないと思います。
あんずさんも今までその病院で治療を続けてこられたということは、治療方針については納得されていたのではないでしょうか。
後任の医師の知識や経験不足が不安ということですが、もしかしたらその医師の対応や「とりあえず〜」というような説明の仕方に不信感を抱いたのかもしれませんね。
不妊治療は結果がすべて
転院というのはありうる事態なのですか。
福田先生 不妊治療は結果がすべての世界です。
患者さんの最終的な不満はやはり「妊娠しなかった」ということだと思います。
経済的にも時間的にも負担がかかる治療ですから、転院の主導権は患者さんにあると思います。
ご希望されるなら、後ろめたさを引きずらず、転院を考えてもよいのではないでしょうか。
転院は、どうするべき?
あんずさんは点鼻薬を始めたばかりという状況ですが、治療周期の途中でも大丈夫なのでしょうか。
福田先生 僕だったらお受けしますが、転院して治療の継続を受けることができるかどうかは施設によって異なると思います。
まずはご自身が通える地域で病院を探して、電話で事情を説明してみてはいかがでしょうか。
転院先が決まったら……?
福田先生 採卵する前に貧血や感染症などの有無を調べる血液検査をされていると思うので、そのデータを今の病院からもらっておくといいでしょう。
先生にお願いすれば、これまでの治療経過などをまとめた紹介の文書も書いていただけると思います。
※ロング法:月経前の黄体期からGnRHアナログ製剤(スプレキュアⓇなどの点鼻薬)を使用し、月経3日目からHMGを7日間連続して筋肉注射する方法。 ※ショート法:月経開始日からGnRHアナログ製剤(スプレキュアⓇなどの点鼻薬)を使用し、月経3日目からHMGを7日間連続して筋肉注射する方法。