人工周期で凍結胚盤胞を移植する場合、 排卵日の予測と体温がズレていても問題はない? 福田先生に、詳しいお話をお聞きしました。
【医師監修】福田 勝 先生 順天堂大学医学部・同大学院修了。米国カリフォルニア大学産婦人科学 教室留学後、順天堂大学医学部産婦人科学教室講師を経て、1993 年 福田ウイメンズクリニック開院。「患者さんの意向に応えるのがプライベー トクリニック」という考えは開院当時から変わらない。患者さんにストレ スがたまらないよう、柔軟な対応ができるのが福田先生がこだわるプラ イベートクリニックの特長でもある。O型・みずがめ座。
ななさん(会社員・29歳)からの投稿 Q. 9月14日に凍結胚盤胞を移植する予定です。 生理周期2日目の8月29日から ※ エストラーナテープ®をお腹に貼り、 周期14日目の10日から※ ルトラール®を服用中。 おそらく先生は、ルトラールを服用し始めた10日を排卵日とさせて、 5日後の14日を移植日にしたのだと思いますが、 今朝ようやく体温が上がりました。最終低体温日の昨日が排卵日とすると、 5日後の16日に移植したほうがいいのではないでしょうか?
※エストラーナテープ®:一般名はエストラジオール貼付剤。皮膚から薬の成分が吸収される。卵胞ホルモンの分泌不足に対する補充療法として使用されて いる。注射剤もある。 ※ルトラール®:一般名はクロルマジノン酢酸エステル。卵巣機能不全症、黄体機能不全による不妊症などの治療に用いられる。
ホルモン補充周期とは?
人工周期での移植で、担当の医師が予想する排卵日と、実際の体温変化が微妙にズレていることを気にされているようですが、まずホルモン補充による人工の周期とはどのようなものか、教えていただけますか?
福田先生 凍結胚盤胞移植のスケジュールには、自然周期と、ななさんの場合のように薬で子宮内膜を整える人工周期があります。自然周期はその名の通り、普段の月経周期で排卵日を特定して移植する方法。自然妊娠と同じ状況と言えますね。
一方、人工周期は卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどをパッチや腟錠などで補充し、自己の排卵を抑えて人工的に子宮内膜を整えていく方法です。
ホルモン補充と、基礎体温
人工周期において、基礎体温による排卵日の特定は重要ですか?
福田先生 人工周期というのは、自分の排卵は完全に抑えて薬でコントロールしているわけですから、基礎体温はあまり気にする必要はないと思いますね。
あくまで参考程度と考えていただいていいんじゃないかな。担当の先生が提案するスケジュールで問題ないと思いますよ。
このような疑問が出るということは、事前に「すべてコントロール下にある」という説明がされてなかったのかもしれませんね。
自然周期の場合でも基礎体温を気にしなくていいのでしょうか。
福田先生 もちろん測っていただきますが、排卵を確認するとき、基礎体温だけをみているわけではありません。なかには体温が上がり始めてもまだ排卵せず、上がる途中で排卵するケースや、基礎体温が正常でも排卵しないというケースもありますから。最終的には、超音波で排卵を確認します。
マイペースな治療を心がけよう
でも、不妊治療中はどうしても基礎体温が気になってしまうという人が多いようです……。
福田先生 僕は基礎体温をつけることを強要しません。毎日測ることがストレスになるという方もいるんですよね。
人工周期の人はあまり気になるのなら、逆につけないほうがいいかも。そのときは休んでしまうのも一つの考えですよね。
マラソンと一緒で、一生懸命走って途中でバテてリタイアしてしまったら意味がない。あまり縛られすぎず、マイペースでゴールを目指してください。