肉体的なこと以上に、 精神的な負担も多い不妊治療。 ジネラーからは心の悩みについて いつも多くの投稿があります。 自らも不妊治療の経験を持つ 田村秀子先生からジネラーへ 心のケアのアドバイスです。
【医師監修】田村秀子先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修 了後、京都第一赤十字病院に勤務。 1991年、自ら不妊治療をして双子を 出産したのを機に、義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995年に不 妊部門の現クリニックを開設。双子の お子さんたちはすくすくと成長し、現在、 高校3年生に。繊細な感性を秘めた、 おおらかな人柄が魅力の先生。みずが め座のA型。
I子さん(専業主婦・30歳)からの投稿 Q.不妊歴5年目に入りますが、 旦那が無精子症で顕微授精でしか授かれません。 3年前に一度妊娠するも、10週目で流産。 妊娠できるということがわかり、 いつかは、と2年間頑張ってきましたが、 先の見えない不妊治療に疲れてしまいました。
妊娠は「母予約切符」を もらったようなもの
まずはI子さんの場合ですが、体外受精や人工授精1回目で妊娠というのはよくあるケースです。ビギナーズサクセス、無欲の勝利とでもいうのかな。I子さんは 10 週目で流産という残念な結果ではあったけれど、あと一歩だった。これは「母予約切符」をもらったようなもの。妊娠できたということは、大きな成果だと自信を持つべきです。
私も不妊治療をして双子を妊娠したのは 36 歳のとき。 30 歳は、決して遅いわけじゃないわ。
「母予約切符」をもらったら、後は順番が回ってくるのを待つのみ。統計学的な数字では、妊娠した赤ちゃんの3分の1は流産してしまうという人もあるくらい。ということは、妊娠できた幸運を素直に喜んでいいと思う。そうして、自分を楽にするためのこじつけでもいい。実体のない神のような存在、または「誰かが遠くからきっと見ていてくれる」と思えば、また頑張れますからね。
こんな話をすると、理論的じゃないとか言って、懐疑的な反応を示す人もいるけれど、医者とは科学者であり、文学者というのが私の持論。特に妊娠は科学だけでは解決できない神秘的な分野なので、最先端の技術だけでなく、そこにファンタジーの要素も必要だと私は考えています。
ハリボさん(OL・年齢秘密)からの投稿 Q.私は子どもを望んでもうすぐ1年たちます。 いろいろなことでストレスがたまり、 夏には仕事を辞める予定なのですが、 義理の両親に子どもができないことを 伝えるかどうかでとても迷っています。 義理の両親はいい人なので正直に話したいけど、 話したことで気を遣わせてしまうのではないかと。
親には絶対オープンにすべき 自作で台本を書いてみて
ハリボさんの場合は、えーと、嫁と姑の問題ね。義理のご両親には、不妊治療のことを絶対にオープンにするべきですよ。こんなに大変で、痛くて、お金もいっぱいかかって、こんなことも、あんなこともしてます。私頑張ってるんですー! とかわいく宣言して甘えてしまえば、自分が必ず楽になります。
ときにはキラキラ瞳のお嫁さんのふりをしたり、台本を作って演じてみることも大切。
基本的に人間は相手より優位に立ちたいものだから、頼られればうれしいの。お義母さんにこう言えばよかったと後で落ち込むくらいなら、上手な言い方や筋書きをあらかじめ考えておいて、台本どおりやってみるといいわ。大切なのは何も考えずにひたすらなりきること。そこから得られるものが必ずあります。
ただでさえ、しんどい治療 そこぐらい楽にしておいてね
お義母さんは、何も自分が孫を見たいわけじゃない。子どもを持つ幸せを、かわいい息子にも味わわせてやりたいと思っているだけ。ま、こういうときこそ、ご主人の出番かもしれないですね。ふたりで作戦を練って、彼の口からそれとなく治療のことを伝えてもらってもいい。
でも、本当は言わないとどんどんたまっていくのよ。無理すれば、必ず相手に伝わる。不妊治療は体力的にも、精神的にもただでさえキツイのだから、せめてそこぐらいは楽にしておいてね。
秀子の格言
体力的、精神的につらい不妊治療。 本当のことを言って気持ちを楽に。