ジネコに寄せられる投稿の中でも 数の多い「薬の副作用の不安」。 薬の効果は欲しいけど、もちろん副作用は嫌だし、 時には「もう嫌 !」となるくらいひどい症状のことも。 この切実な問題を、ファティリティクリニック東京の 小田原靖先生に取材しました。
ドクターアドバイス
薬や副作用に対しては 僕たちがもっと 謙虚にならないと
取材部 今日は、ジネコユーザーにとって、とても大きな問題をお伺いしに来ました。
小田原靖先生(以下:先生)何でしょう?
取材部 薬の副作用についてです。ほとんど毎日といっていいほど、ジネコには薬の副作用に関する投稿があるんです。今までに何百件もの投稿が寄せられています。
先生 なるほど。副作用については、みなさん気になるところでしょうね。
取材部 実際に副作用があって投稿される方はもちろん、薬= 副作用というイメージが強くて、特に症状がなくとも不安に感じている方が少なくないんです。
先生 飲む前から不安を感じている人も多いですよね。
取材部 そうなんです。その不安とどう向き合っていけばよいかわからずに、悩んでいる方が多いんです。例えばこの投稿のもちっこさんは、排卵誘発剤のプラノバールを飲んだところ、担当医からの説明以上に激しい副作用に襲われて、こんなつらい治療を今後も続けていくべきなのかと、とても悩まれています。
先生 なるほど……(投稿を読む)。担当医からの説明は、「初めはムカムカするが、しばらくしたら慣れる程度」だったんですね。それが、実際は激しい嘔吐をしてしまった。
取材部 そうです。
先生 担当医の説明と違った、というところも、悩まれている原因のようですね。
取材部 ええ。担当医の言葉を信じていいのかどうか、というところまで悩まれています。
先生 副作用に関しては個人差があって当然なのですが、医師の説明に甘い部分があったのかもしれませんね。ただし、必要のない薬を処方されることはないと思いますので、もう一度担当医に確認されてみてはと思います。僕は、薬や副作用の説明に対して、医師はもっと謙虚にならなければいけないと思っているんですよ。同じ説明でも決して事務的にならずに、常に一人ひとりに真 しん 摯 し に向き合っ
ていかなければならないと。
取材部 そう言っていただけると、とてもうれしいのですが、でも実際、診療中は聞きたいことも聞けないままになってしまう、という方も多いようなんです。
先生 確かにそのようですね。また、しっかり説明を聞いたつもりでも、後になってから疑問がわいてくることも多い。
取材部 だから家に帰ってネットで相談したくなる……。
先生 でもね、確かにネットに書き込みしたらそのときは気持ちが少し晴れるかもしれないけど、根本的な解決にはなってないですよ
ね。次の日の朝になったらまた不安が首をもたげてくる。不安を不安のまま置いておくのは絶対に良くありません。不安があると、小
さな副作用を大きくとらえてしまったり、薬と関係ない症状まで副作用と感じたりして、ますます良くない方向へ向かってしまう。
治療は自分で 納得することが大事 不安はしっかり伝えて
取材部 確かに、そうですね……。
先生 大切なのは、不安や疑問を感じたらすぐに聞くこと。うちでは、疑問があったらいつでも聞くことができるように、看護師直通
の専門回線を設けています。また、緊急用に僕の携帯番号もお伝えしています。何かあれば 24 時間いつでも連絡しておいでって。
取材部 えっ!とても心強いですが、対応が大変なのでは?
先生 僕が知らないところで副作用が起きたりしないかとか、そっちの方が心配なんでね。この方が僕にとっても安心なんですよ。
取材部 なるほど。例えば副作用がつらい、という相談を受けた場合はどう対応されてますか?
先生 症状がひどいようであれば、必要に応じて薬を変えたり服用を中断したりすることもあります。いずれにせよ、副作用の不安があるのに医師には黙ったまま、というのはいけませんよ。
取材部 こちらから、「どうしてもその薬は飲みたくない」と伝えたとしたらどうですか?
先生 その薬についてよく理解してもらって、それでもやはり嫌なら、飲まなくてOKですよ。メリットを感じていないのに飲み続ける
のは、体にも良くありません。
取材部 なんだか、そう言っていただけるとホッとします。ところで先生、みなさんに携帯番号をお教えしていると、プライベートな
時間もないように思うのですが?
先生 確かに多くはないですが、オン・オフ切り替えて楽しんでいます。休日にサーフィンをするのが僕のリセット法。
取材部 サーフィンですか!だから日焼けされているんですね。
先生 気持ちを切り替えたら、また治療に集中。一人ひとりとコミュニケーションを取りながら、不安もちゃんと受け止める。それが医
者のスキルだと思っています。