不妊治療を始めて1年。人工授精、体外受精、どれも着床しません…

相談者 :にゃんすけさん(38歳)
▶︎着床障害の可能性や、したほうがいい検査について
タイミング法2回、人工授精2回、体外受精を2回しましたが、一度も着床しません。子宮鏡検査を2回しましたが、異常なし。私は着床障害があるのではと思い、次、移植する前に慢性子宮内膜炎の生検か、ERA 検査をしようと考え中です。それとももう一度移植すべきですか。移植なら二段階胚移植、もしくは2個一緒に戻すことを考えています。ただSEET 法でも反応がないのに二段階胚移植しても意味はありますか。できれば低額な検査から行いたいです。
【医師監修】神奈川レディースクリニック 小林 淳一 先生
慶應義塾大学医学部卒業。1984 年より習慣流産の研究と診療に携わり、1989 年より済生会神奈川県病院においてIVFを不妊症・不育症の診療に導入。その後、新横浜母と子の病院の不妊・不育・IVFセンター長に就任。2003 年、神奈川レディースクリニックを開院する。患者さまの個々のペースに合わせた無理のない医療を目指す。

にゃんすけさんは着床障害を疑っています。ご意見をお聞かせください。

小林先生●着床不全の可能性については、検査をするとわかります。自費で行うものや、保険診療と併用できるものなどさまざまな検査方法があります。

低額な検査を希望されています。保険診療と併用できる検査にはどんなものがありますか。

小林先生●慢性子宮内膜炎の原因菌を特定する子宮内フローラ検査であれば、先進医療に認定されているため、保険診療と併用可能です。また着床時期のずれがないかを診るERA検査、子宮の常在菌を調べるEMMA検査、子宮内膜炎の原因となる細菌を見つけるALICE検査も先進医療に認定されています。ただ、にゃんすけさんはすでに子宮鏡検査を2回受けて異常なしという結果なので、大きなトラブルはないでしょう。

胚盤胞2個の二段階胚移植や、2個移植も検討しているようです。

小林先生●二段階胚移植は、一般的に同じ周期に受精後3日目の新鮮胚と5日目の胚盤胞を移植する方法です。かつては胚盤胞のみの二段階胚移植をしていましたが、今はあまり行われていません。二段階胚移植は先進医療になりますが、SEET法でうまくいかなかった人が対象となります。にゃんすけさんの場合、まず新鮮胚を3日目に移植し、残っている胚があればそれを融解して2日後に移植します(ドミノ移植)。
2個同時胚移植は、複数回やっても妊娠しない方、40歳以上で胚のグレードが低い方が対象です。にゃんすけさんの年齢だとグレードの低い胚であれば2個同時移植もありかもしれません。

そのほかに、しておいたほうがいい検査はありますか。

小林先生●着床不全の原因の一つに卵管水腫があります。卵管に膿や水が溜まり、それが子宮に逆流して着床障害を引き起こすものです。卵管造影検査でわかります。にゃんすけさんは、人工授精からすぐ体外受精に移っていますが、あえてステップダウンして卵管造影検査をやり、その後に人工授精という選択肢もあります。
例えば採卵した後、凍結胚を戻す前に自然妊娠する人もいます。またグレードの良い胚を移植してもダメなのに、良くない胚で妊娠することも実際にあります。ありとあらゆる可能性を考え、あえてステップダウンするのも一つの方法かもしれません。主治医と相談しながら、治療を進めてくださいね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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