【Q&A】空胞・未熟卵が多い~松原先生【医師監修】

ちきさん(38歳)

①空胞率、未熟卵率が高く、今後の治療法に悩んでいます。刺激法を変えた方がいいのか(PPOS、アンタゴニスト)このままショート法を継続するのかご教示ください。クリニックの先生は刺激法は変えても意味がないと仰っています。

②毎回自然周期で採卵を開始していますが、ピルで生理を調節する方法と変わりはありますか?

操レディスホスピタルの松原先生に伺いました。

操レディスホスピタル 松原 寛和 先生
名古屋市立大学卒業。操レディスホスピタルでは、生殖医療部門の統括部長として、主に不妊治療を担当。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●空胞率や未熟卵率が高い場合の治療法について、どのように考えられますか?

空胞率や未熟卵率が高い場合に、必ず効果が期待できるという方法はありません。ですので、治療法の選択が難しい中で、以下のような方法が考えられます。

1)卵巣の刺激方法を変更する…高刺激から低刺激に変える、ショート法からPPOS法に変えるなど
2)トリガーをシングルからダブル(LHとGnRHaを併用)に変更する
3)トリガーの時間を1~2時間早くする
4)排卵の抑制開始時期を遅らせる…アンタゴニスト法、フレキシブルPPOS法など
5)卵子の質向上が期待できるサプリメント(DHEA、メラトニンなど)を併用する

●刺激法を変えるべきか、ショート法を継続すべきか、先生でしたらどのような提案をされますか?

ショート法を3回施行して良い結果が出ていませんので、刺激法を変えることをお勧めいたします。そのため、上記でお答えしたような方法を提案いたします。

●PPOSやアンタゴニスト法の利点について教えてください。

※PPOS法
1)黄体ホルモンの内服薬を使うため、費用が比較的安く、通院回数も少なくできます。
2)トリガーとしてGnRHaを使用することができます。
3)アンタゴニスト法のように使用開始日を決めるための受診が不要です。

※アンタゴニスト法
1)刺激開始の初めから下垂体ホルモンの抑制をしないため、卵胞が発育しやすくなります。その結果、治療期間が比較的短くなります。
2)強い排卵抑制効果を期待できます。
3)PPOS法と同様にトリガーとしてGnRHaを使用することができます。

●自然周期での採卵と、ピルで生理を調節する方法の違いについて教えてください。

採卵の前周期をピルで調節する方法とピルを使わない方法(自然周期)との違いをご質問されていると判断してお答えいたします。
採卵の前周期にピルを服用し卵巣を休ませることで、質のよい卵子を採取できる可能性が高くなると言われています。しかし、ピルを服用しない場合に出産率が高くなるという報告もありますので、すべての方にとってピル服用が有効であるとはいえないと思われます。
また、月経不順の方にはピルで周期を整えると月経開始日を予測できるため、仕事などのスケジュールが立てやすいと考えられます。

 

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