【体験談】心に沁みる「無理せず頑張ろう」の言葉。 日々穏やかに、笑顔で治療に取り組みます。

 

仕事との両立がこんなに大変とは思わなかった
心に沁みる「無理せず頑張ろう」の言葉。日々穏やかに、笑顔で治療に取り組みます。

26歳で起業し、経営者として多忙な日々を過ごす、つばさん。治療を始めた頃は「仕事との両立なんてムリ!」と悲観的になることもあったそうですが、今ではご主人のYさんとともに笑顔で不妊治療に向き合っています。

タイミングさえ合えばいつでも妊娠できるはずだった

結婚前にブライダルチェックを受け、特に問題ないという検査結果に安心していた、つばさん(32歳)とご主人のYさん(36歳)。「タイミングさえ合えば妊娠できる」。そう疑わなかった二人は自己流でタイミングを取っていましたが、1年経っても妊娠の兆しはなく、不妊専門クリニックで検査を受けることにしました。
そこで判明したのは「精子の数値が良くない」という事実。一人で説明を受けたつばさんは「私が彼に伝えるの?」ととまどい、悩んだ末「精子が悪いらしいよ!」と努めて明るく伝えたのだそう。
Yさんにとっても寝耳に水でしたが、不妊治療を“自分ごと”として捉え、サプリを飲むなど積極的に精子の質や運動能力の改善に努めるようになったそうです。

経営者だからこそ見えてくる治療の進め方と向き合い方

治療は顕微授精一択でしたが、採卵や移植スケジュールの不確実さを知り、つばさんは困惑してしまいます。と言うのも、つばさんは美容鍼灸サロンを2店舗展開する経営者。通院しやすい条件に合ったクリニックを選んではいるものの、多忙な業務に不妊治療を組み入れるとなると「急な休みの調整は?」「お客様の予約と重なったらどうするの?」「妊娠出産で働けない期間は?」と、いろんな問題が頭をよぎり、「仕事と治療の両立なんて、無理だな……」と、絶望したそうです。 そんな不安をYさんにぶつけると「嬉しい悲鳴だね」という言葉が返ってきて「初めてブチっときました(笑)」と語るつばさん。
「彼はフリーランスなので、あなたにたとえたら仕事が止まれば収入に直結するっていうことだよ、そこから回復するのは難しいよねっていうふうに伝えたら理解してくれて。それからは気持ちに寄り添ってくれるようになったと感じています」
どんなに不安に押しつぶされそうになっても、すべてを投げ出したいと思っても、経営者としての選択は「仕事ありきの不妊治療」。そして、将来的にスタッフが妊活や不妊治療のことを話しやすく、仕事との両立がしやすい環境をつくるために自身の不妊治療の経験を糧にする。覚悟を決めたつばさんは、治療のカミングアウトはもちろん、採卵や移植日に重なりそうな時期はあらかじめスタッフに施術の予約を任せて研修や面談、事務等の割合を増やすなど、両立を実現させるための取り組み方や考え方に自身をシフトしました。

不妊治療にトラブルはつきもの。だからこそ笑顔を忘れずに

ところが、前周期の遺残卵胞があることがわかって初めての採卵はまさかのキャンセル。
「治療が始まれば、採卵して移植する流れだと思っていたのに、それができないパターンがあるなんてまったく想像していなくて。採卵に合わせてスケジュールを空けていたから、めちゃくちゃズレる!ヤバい!って、仕事のことで頭がいっぱいになりました」
もう一つ、つばさんを悩ませたのは排卵誘発剤など薬による体調の変化。体はきつく、気持ちは常にモヤモヤ。お腹が張り、食べる量は変わらないのに気づけば人生最高体重に。車酔いもしやすくなり、ストレスで精神的にも不安定になった時期があったそう。
それでも治療は着々と進み、改めて挑戦した採卵では18個採れて凍結までできたのは10個。採卵キャンセルから約3か月後、無事に移植できました。「いつも通り笑顔で過ごしてねって先生に言われて、フライング検査はしないまま。判定日まで考えず、好きなお寿司を食べたりジムでストレッチしたり、普通に仕事もしながら過ごしました」
結果は陰性でしたが「まだ1回目だから」と至って前向きな二人は、2回目の移植に向けて体調管理にも余念がありません。妊活前から食べ物の質や種類に気をつけていた“健康オタク”のつばさんは、腸活や温活など楽しみながら体を整える方法を日常生活に取り入れています。そして、料理上手なYさんが作る野菜メインのカレーライスや蒸籠蒸しなど脂質を抑えたおいしい料理も、つばさんの笑顔の秘訣になっているようです。

頑張らずにはいられないから「無理せず、頑張ろう!!」

不妊治療の日々を動画で綴ったインスタグラムに寄せられるDMのコメントの中で、特に心に響くのは「無理せず、頑張ろう」という言葉。「頑張らずにはいられないことを知っているからこそ、無理せず、頑張ろう、なんですよね」。職業柄、20代の頃から不妊というキーワードに触れることが多く「子どもができることは当たり前じゃない」とわかっていたものの、タイミング法で妊娠を目指していた頃は生理が来るたびに落ち込んでいたつばさん。実際に自分が不妊治療を始めたことでそのことを再認識できたことも、新たな感情の芽生えにつながったようです。
「不妊治療は人に優しくなれる治療なのかもしれません」。そう語るつばさんは、Yさんへの想いにも変化が。お互いに理解し合っているつもりでも、心身や日常の生活への負担が大きいのは女性であり、深い部分まで掘り下げた感情や目の前のことに対する受け止め方にすれ違いが生じてしまうのも不妊治療の現実。そのもどかしさから、つい八つ当たりをしてしまうこともあるそうですが「彼の優しさは伝わっています。いつも言いすぎてごめんね。そして、ありがとうの気持ちでいっぱいです」。
正直な気持ちをぶつけ合いながら今を受け止め、できることを実践し、自分たちらしい未来へと向かうつばさんとYさん。ジネコ取材班も「無理せず、頑張ってね!!」とメッセージを贈ります。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。