【Q&A】過分割胚でも妊娠できる?~小川達之 先生【医師監修】

ここりすさん(40歳)

顕微授精に採卵をしました。9分割のグレード3、4、10分割のグレード3を凍結しています。
過分割胚はよくないと聞いたこともあります。一般的に10や9分割は妊娠の可能性は少ないのでしょうか。

帝王切開瘢痕症候群の手術を予定していますが、大学病院では必要と言われており、不妊クリニックの医師からは必要ないかもしれませんといった見解です。どちらを信じてよいのでしょうか。周期によっては症状がない周期もあり悩んでいます。
宜しくお願いします。

表参道ARTクリニックの小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】表参道ARTクリニック 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

まず、DAY3時点で10細胞以上の分割胚では染色体異数性の確率が高いという報告は確かにありますが、10細胞以上では全く妊娠しないため胚移植を避けるべきだという内容ではありません。一方で、DAY3時点で分割が進んでいた胚は妊娠率が高いという報告もあります。DAY3で4細胞などでは確かに厳しいですが、10細胞の場合は分割が進んでいるため、十分に出生を目指すことのできる受精胚だと考えます。

次に、帝王切開瘢痕には血液が貯留したり、瘢痕内から持続的に出血したりします。毎周期の月経血の出方が完全に同じではないのと同様に、瘢痕内の血液の貯留や出血の様子も毎周期同じとは限りません。
手術適応については、例えば胚移植を行っても妊娠が成立しない場合などに検討されます。まだ一度も胚移植を行っていないのであれば、まずは胚移植してみるというのも一つの考え方です。帝王切開瘢痕症候群の手術適応は非常に難しく、主治医とよく相談のうえ、ご自身にとって最適な治療方針を見つけていくことが大切です。応援しています。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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