【Q&A】人工授精失敗、薬は変える?~政井先生【医師監修】

やまださん(37歳)

人工受精の1回目を終了しました。クロミッド、排卵促進注射を使用しましたが妊娠せず。遺残卵胞があり、今周期は治療を中断しました。

もう一度人工受精をしたいのですが、医師に「次回はクロミッドを使用しますか?好きにしていいです」と言われました。
クロミッドを使用しない場合、他の薬を使用したほうがよいのか、それとも何も使用せず、排卵日付近に注射だけで人工受精していいのか、教えてください。

政井先生にお聞きしました。

【医師監修】佐久平エンゼルクリニック 政井 哲兵 先生
鹿児島大学医学部卒業。東京都立府中病院、日本赤十字医 療センター、佐久市立国保浅間総合病院、高崎ARTクリニック 勤務を経て、2014年に佐久平エンゼルクリニックを開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

遺残卵胞は前周期に排卵した後の卵胞の殻が翌周期に残って見えるような現象を総称して遺残卵胞といいます。遺残卵胞がある周期は新しい卵胞の発育が阻害されたり、卵胞が育った場合に遺残卵胞なのか新しい卵胞なのか判別がつかない場合もあり、お休みをするという考え方もありますが、必ずしも1周期をあける必要がないという考え方もあり、施設ごとに考え方は様々です。(1周期わざわざお休みしなくても新しい卵胞が育てば妊娠の可能性はあるという考え方もあります)

クロミッド以外の選択肢としては排卵誘発剤のフェマーラ(レトロゾール)を使用したりする場合もあります。排卵誘発剤を使用せず、HCGのみで人工授精を行うケースもありますが、誘発剤を使うとある程度卵胞の発育がしっかりしてくるので人工授精やタイミングを行いやすいというメリットはあります。基本的にはクロミッドで遺残卵胞ができやすい方の場合でも、毎周期新しい卵胞が育ってくる可能性は十分ありますので、今の治療を継続してつづけてみるでよいかとは思います。また、人工授精で効果が出ない場合は年齢なども考慮して早めに体外受精へのステップアップを検討するという考え方もあるかと思います。

あくまでも私の考え方になりますが、クロミッドまたはレトロゾールで排卵誘発をしっかり行い、卵胞が育てばHCG注射で排卵を促して人工授精を実施、これを3〜4回程度行い、効果が出ない場合は早めに体外受精へステップアップを検討という考え方がよいかと思います。また、遺残卵胞が仮にあっても毎回新しい卵胞は育ちますので、あえて1周期を無駄にお休みせず治療を継続していくという考え方でよいのかと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。