▶︎人工授精続行か体外受精へステップアップか検討中
人工授精を2回しましたが、体外受精にステップアップするべきか悩んでいます。先生に「人工授精は何回くらいするべきですか?」と聞いたところ、「5、6回」と答えが返ってきました。一般的な確率などからもそれくらいが妥当だと思いますが、何だか期待できずに続けるのがつらくなってきました。毎月の支払いは1万円弱ですが、加入している健康保険に付加給付制度があり、1カ月以内に調整してもらえるのであれば体外受精に進んでもいいかなと思っています。

東邦大学医学部卒業。東邦大学大森病院で久保春海教授の体外受精グループにて研究・診察に従事。医局長を経て、1995 年より現在の東京・亀有にて産婦人科医院を開業。
すでに2回実施したそうですが、あと何回くらい人工授精をするべきでしょうか。
臼井先生●医師から「5、6回」といわれたそうですが、当院でも5回くらいを目安に考えています。回数の目安は年齢や卵巣予備能力によって異なってきますが、30歳以下でAMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値が2ng/ml以上の人はだいたい5周期、30歳以上でAMHが2ng/ml以下、過去に6回以上タイミングをとった人は3回くらいが妥当ではないかと考えています。
はるかさんのAMH値は4・83ng/mlとのこと。多囊胞性卵巣ぎみのようで少し高めですが、前者のケースに当てはまると思います。
5回トライすれば妊娠できる可能性はありますか。このまま人工授精を続けていく意味はあるのでしょうか
臼井先生●人工授精の妊娠率ですが、当院では自然周期または超低刺激周期で1周期あたりだいたい5.8%、低刺激周期で8%、刺激周期で10%程度です。人工授精で妊娠する人は1~3回目くらいまでが多く、5回目だと9%程度。6回目以降になると2.3%以下と頭打ちになってしまうので、回数を重ねればいいというものではありません。体外受精の妊娠率と比べると確かに低いのですが、年齢が若ければ期待はもてると思います。また、人工授精をやっていくなかで、ピックアップ障害や受精障害など不妊原因を絞り込める可能性もあるかもしれないので、トライする意義はあるのではないでしょうか。
ただし、やるかやらないか、回数をどうするかはあくまでも医療側からの提案であって「絶対すべき」というものではありません。患者さんからのご希望があればステップアップも可能です。
人工授精は期限を決めて行うのが正解なのでは。当院でも2、3回終えた患者さんには説明会や動画で知識を得るなど、次のステップである体外受精を視野に入れるようにお話ししています。
体外受精を行うとなった場合、なるべくコストを抑える治療は可能ですか。
臼井先生●体外受精の費用は誘発法などによって変わってきます。低刺激より高刺激のほうが薬を多く使うのでその分料金は高くなるでしょう。高額療養費制度や付加給付制度をうまく使いたいのであれば、月初から治療を始めて月内に終わらせるのが理想だと思います。ただし、その形で進められるのかどうかは施設や医師にもよるので、事前にご相談されることをおすすめします。