▶︎無月経からの不妊治療について
ダイエットをしてから無月経になり数年経ちます。婦人科で低用量ピルを処方してもらい、生理がくるようにしていましたが、今年から妊活を考えピルをやめました。先生からは温うんけいとう経湯という漢方を処方され、「それでも生理がこない場合、年齢的にも不妊治療を行ってもよいと思う」と言われました。生理はやはりこず、不妊治療を考えていますが、費用面や治療に時間や負担がかかるイメージもあり、どこから始めればよいか悩んでいます。

名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986 年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。
ダイエットの影響で無月経になり、生理が止まったままのようです
生田先生●無理なダイエットで生理が止まってしまうことは、若い方ではよくあります。体重を増やして生理が再び起こるようになればいいのですが、半年以内に生理が戻らないと完全に止まって一生こなくなる可能性が大きくなります。
月経周期は本来、視床下部の命令によって脳下垂体から卵巣を刺激するホルモンが出ることで起こります。ですが、過度なダイエットや強いストレスなどで元々の機能にダメージが加わると、いうことをきかなくなってしまいます。激しいスポーツをしたり過労が続いたりしても、生理不順になったり止まったりします。ピルを飲むと薬の力で子宮が反応して出血(生理)は起きますが、ピルに含まれているホルモン剤が、脳にある生理のリズムをつくる中枢を止めるため、卵巣に「働け」という刺激物質を出さなくなります。卵巣からホルモンが出ないので、子宮内膜も厚くならないし、排卵も起きないのです。
漢方の効果はどうなのでしょうか?
生田先生●完全に生理が止まっている場合は漢方薬のみで再開させるのは難しいと思います。卵巣自体の能力はあると思うので、お子さんを望まれるのであれば、排卵誘発をして排卵を起こさせるのがいいのではないでしょうか。
不妊治療に早く移行した方がいいということですね
生田先生●年齢的にも35歳を超えると卵子の質が低下してきて妊娠しづらくなるので、早いほうがいいと思います。長い間、排卵していなかった状態なので、卵子の数は多いのではないかと思います。ただ生理が完全に止まっている状態だと飲み薬の排卵誘発剤だけでは難しいかもしれないので、場合によっては毎日少量ずつ自己注射をしていかないと排卵が起きないかもしれません。
また、ハルさんのようなケースは、なかなか排卵しないからと薬を多めに投与するために多胎率が高くなるという注意点もあります。1〜2個くらいの排卵が起きるよう、医師に上手く排卵誘発をしてもらうといいですね。
費用面の心配もあるようです。
生田先生●排卵誘発の飲み薬は数十円程度ですが、子宮内部や卵巣を診るための超音波検査は1回4000〜5000円ほどかかります。保険で請求できるのは1周期3回くらいまでなので、自己負担額は5000円程度になります。自己注射が必要な場合はもう少しかかりますが、最初から高額になることはないと思いますよ。