うみさん(29歳)
妊娠初期から「大きめの頸管ポリープがある」と言われ、頻繁に出血があったため、16週の時に切除しました。17週6日で破水してしまい入院したところ、頸管ポリープではなく、内膜(脱落膜)ポリープだったことと、何らかの感染が「流産の原因」だと言われました。今回の流産から2週間後の検診で、頸管ポリープがまたあると言われました。
それに2度流産していることから妊活のOKは出せないそうで、不妊専門の病院でポリープの診察、不育症検査、子宮鏡検査、不妊症検査、子宮内細菌叢検査を受けることを勧められました。
不妊専門の病院を調べると上記4つの検査を受けられるところはたくさん見つかりますが、ポリープに関する情報が載っている病院があまり見つかりません。
不妊専門ではないけれど、子宮鏡検査とポリープ切除の手術ができる病院は、いくつか見つかりました。
不妊専門の病院で一通り診察・検査を受け、ポリープ切除ができる病院を紹介してもらって治療してから不妊専門の病院で治療を進めて行くのか、不妊専門ではないけれど子宮鏡検査とポリープ切除の手術ができる病院で治療してから不妊専門の病院へ行くのか、どちらが良いのでしょうか?
また、3cmほどのチョコレート嚢胞は治療する大きさではないそうですが、治療が必要となった場合、不妊専門の病院で治療はできるのでしょうか?
【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。
頸管ポリープや内膜ポリープの原因は明確なものはないですが、なりやすい人は切除してもまた出てくる人もいますので、一度切除したからOKというものでもありません。前回妊娠時のポリープが流産の原因だったかはわかりませんが、次回妊娠時には頸管ポリープも内膜ポリープもない状況で妊娠を目指すのが望ましいと考えます。
2回の流産、そのうち1回は妊娠16週の後期流産なので、不育症の検査はしたほうが良いと考えます。不育症検査や子宮鏡でのポリープの観察、細菌叢検査などは不妊症専門病院の分野となるので、不妊症専門病院での検査並びに結果によっては対策を行ったうえでの妊娠を目指すことをお勧めします。一般論になりますが、ポリープの手術は小手術のため、子宮鏡検査を行う病院であればポリープがあった際には自施設で手術を行うことができるところがほとんどと思います。また一連の流れの中でのポリープの検査/手術を行うので、可能であれば同一施設で不育症検査、子宮鏡並びに必要なら手術もできる病院での治療を勧めたいところです。
チョコレート嚢腫についても、あるから小さくても手術をするというわけではありません。しかし、4~5cm大になってくると破裂の危険もでてくるので手術を検討することになります。手術についても開腹手術/腹腔鏡手術/嚢腫内容吸引など種類があるので、経過や現在行っている治療内容に合わせてどの方法で対策をするかを検討することになります。
ちなみに、開腹手術/腹腔鏡手術は入院管理が必要な手術になるため、入院施設のある病院でしか行うことができません。嚢腫内容吸引は日帰り手術が可能なため入院設備のないクリニックでも行うことができる手術になります。当院では卵巣予備能力への影響を考えて嚢腫内容吸引を第一選択としています(自施設で行う)。一部の開腹手術/腹腔鏡手術が望ましいと思われる方については提携している病院へ紹介させていただいた上で手術を行う場合もあります。
うみさんについては、2回の流産既往があるので、まずは不育症の検査を行い流産の原因が他にないかを調べましょう。また次回妊娠に向けて頸管ポリープ、内膜ポリープがない状況で妊娠を目指したいので事前に子宮鏡などで確認を行い、必要なら手術でポリープを片付けてからの妊娠を目指したいです。さらに、後期流産の原因には膣→子宮と上行性感染が原因になる場合があるので、膣/子宮の細菌叢環境を調べたうえで必要なら対策をしながら妊娠を目指したいところです。以上簡単ですがお返事とさせていただきます。
2回流産してしまうと、“またダメなんじゃないか、、”と考えてしまいがちですが、“今度こそ大丈夫”と思ってまた頑張りましょう!