温活で妊娠しやすい体づくり

妊活中の方の中には「季節を問わず手足が冷たくて、だるい」「いつもお腹が冷えている」など、「冷え」に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。不妊をはじめ女性のあらゆる不調に精通されているフィーカレディースクリニック院長の佐野麻利子先生に、「冷えと妊活」について聞いてみました。

「冷え」は体内に血がうまくめぐっていない状態

冷えとは、簡単にいうと体の中が血行不良になっている状態のことです。冷えを引き起こす原因として、まずは運動不足による筋肉量の低下があります。筋肉は、エネルギーを消費するのと同時に熱を作り出してくれる大切な器官です。

また、食生活の変化も要因の一つです。昔は味噌汁や煮物など、根菜を使った温かい料理と、旬の食材を使ったメニューがよく食べられていました。ですが現代は、体を冷やす生野菜や冷たい飲み物を摂る機会が多くなっています。こうしたことから、「冷え」で悩む人は増加傾向にあると考えられます。

冷えにはさまざまなタイプがあり、症状も多様

ひと口に「冷え」といってもいくつかのタイプがあります。ここでは代表的な4つのタイプについてご紹介いたします。

【あなたはどのタイプ?】

◇全身型◇

特定の部位ではなく体全体が冷たいタイプ。季節を問わず体温が低い傾向にあり、何をやっても疲れやすいのが特徴。基礎代謝が低いため食欲もないことが多い。

◇四肢末端型◇

末梢の血流やリンパの流れが滞るので手足に冷えを感じる。手足がむくむため、さらに血行が悪くなり冷えが加速する傾向に。頭痛や肩こりをともなう人も。

◇下半身型◇

顔はほてっているのに、腰から下が冷たく、重だるさを感じる。座りっぱなしの状態が長く、下半身が筋力不足ぎみの人に多くみられる。

◇内臓型◇

手足は温かいのに体の内部が冷えるタイプ。自覚症状のない人も多い。胃をはじめとした臓器の動きが鈍くなるため、腹痛やお腹が張るなどの症状がみられる。

妊娠力の低下につながる 3つの悪影響

冷えは、妊活中の方に3つの悪影響をおよぼすといわれています。
まず1つめは「卵巣機能や子宮の働きの低下」です。冷えによって血行が悪くなると卵巣などの臓器にも栄養が行きわたらなくなり、卵子の質が低下。そのせいで受精しづらくなることも。また排卵障害になる可能性もあるので注意が必要です。
2つめは血行が悪くなることで、「女性ホルモンの分泌が低下」します。それにより、生理不順や子宮内膜症など不妊につながるトラブルが生じやすくなります。
そして3つめは、体温が低いと「免疫力が低下」し、風邪や感染症にかかりやすくなります。妊活は健康な体で行うことが大前提。風邪をひくと、妊活が中断してしまうことも…。ちなみに健康な人の平熱は、36.5℃~37.1℃といわれています。妊活中は体が冷えないよう対策を講じましょう。冷えで普段の生活に支障が出る場合は、漢方の力を借りても。「たかが冷え」と思わず、医師に相談してみてくださいね。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。