等身大の言葉で治療のありのままを発信

低AMH値と抗精子抗体、同じ境遇にある人たちとつながりたい。

不妊治療にまつわる素直な発信が人気のLiiiさんがYoutube配信を始めたきっかけは、「話すのが苦手な自分自身を克服したい」という前向きな気持ちからでした。配信で同じ境遇にある人たちとつながることができたらと語ります。

クリニックの検査で判明。限られた治療期間

海外留学先で出会ったLiiiさんご夫妻は遠距離恋愛を経て、ゴールイン。1年間ほど夫婦二人の生活を楽しんでいましたが、そろそろ子どもが欲しいと産婦人科に通いだすも、なかなか授からない日々を送ります。結婚2年目に不妊治療専門クリニックに通うことを決意。クリニックでの検査で告げられたのは、低AMHで抗精子抗体があるという結果でした。
「不妊治療がまだ保険適用になっていなかった2021年に本格的に不妊治療をスタートしたのですが、クリニックで最初に調べたのが、AMHでした。1回目のAMH検査では結果が0.45ng/ml(年齢にたとえると44~45歳くらいの数値)。2022年に保険適用がスタートし、体外受精へと治療をステップアップする前に調べた2回目は0.55ng/mlでした。

その時は、まさか自分が体外受精をすることになるとは!という気持ちでしたね。正直もっと早く、病院に行けばよかった…と思いました」。排卵日近くに分泌される頸管粘液と精子の相性を調べるヒューナーテストでは、3%の確率で不妊の原因となる抗精子抗体が陽性であることも判明しました。これらの検査結果で「自分に残された治療期間は短いんだ…」とLiiiさんは感じ、早めに体外受精にステップアップするきっかけになったと言います。

不安で孤独な不妊治療。治療している人とつながりたい

 結婚を機に遠方に引っ越していたので、不妊治療について話せる友人もいなくて孤独で不安な日々。思い切って不妊治療専門クリニックに通院し不妊原因がわかり、あっという間に治療は体外受精までステップアップするも、頼れるのは夫とクリニックのお医者様だけという現状。Liiiさんは不安と孤独な不妊治療を乗り越えるために、Youtube配信をスタートします。
「以前は保育士の仕事をしていたんですが、その頃から人見知りで、他人に自分の気持ちを伝えることが苦手でした。不妊治療を始めたことで、人前で話すことが苦手だという自分自身のコンプレックスに向き合い、不妊治療に関する情報交換ができる人たちとつながりたいという思いでYoutube配信を始めたんです」

配信を始めてみると、2年で1万人の登録者数を誇る人気チャンネルになりました。「登録してくださっている方たちが温かく見守ってくれるので、配信を通して自分に自信がつきました。いつも見てくださる登録者さんのためになる配信にしたいと思い、素直に現状を伝えたことで、1万人の方たちが見てくれるチャンネルになったのかなと思っています」
Liiiさんのチャンネルのコメント欄には、同じように不妊治療に向き合っている人たちから、たくさんの応援やアドバイスのコメントが寄せられるようになりました。

Youtubeを始める前は一人でスマホに向かい、不妊治療の情報を収集していたLiiiさんですが、Youtubeを通してたくさんの人たちとつながることができ、気持ちが前向きになったといいます。自身の治療状況を配信でシェアし、見てくれる人たちの役に立ちたいという心境の変化にもつながっていきました。

妻の治療に寄り添うことで女性の負担の大きさを痛感

営業職で出張の多いLiiiさんのご主人は、一人慣れない土地で不妊治療に向き合うLiiiさんのYoutube配信についてアドバイスをしたり、事前に治療について調べたりと、Liiiさんの気持ちに常に寄り添い、負担を少しでも軽くするように努めていると話します。
「子どもが欲しいという夫婦共通の目標はありますが、検査で子宮内膜を削ったり、自己注射をしたり、卵子を育てるための薬を飲んだりと、奥さんの負担が僕に比べてめちゃくちゃ大きいので、なるべく奥さんの話を聞いて、気持ちに寄り添うようにしています。あとは僕自身がいろんな事柄に対して調べるのが好きなので、自分なりに治療について調べたりしています」
男性の多い職場で、不妊治療の理解を得ることの難しさを感じたことも多々あるというご主人。「やっぱり実際に治療を経験した人じゃないと、採卵日が直前までわからなくて治療の日程がなかなか決まらず休暇を申請するのもギリギリになってしまうことを理解してもらえない部分もあります。でも、今は仕事よりも自分たちのことを優先したいです」(ご主人)

日々の暮らしを丁寧に 二人の時間も大切にする

同い年のご主人の深い愛情とサポートに支えられながら、二人三脚で進めている不妊治療。現在は、通院しているクリニックで着床の窓(受精卵が子宮内膜に着床する最適な時期)を調べるための「ERA検査」を、さらに専門病院での着床障害の検査を控えています。「あと2回、保険適用内で移植ができるので、とりあえずそこまでは全力でできる限りのことをやります。そのあとのことはその時の状況で、夫婦で話し合いますが、30代という年齢的なことからも諦めきれないと思うので、とにかく納得するまで頑張りたいと思っています」
治療は大変だけど、夫婦としての絆が深まったと話すLiiiさん。仕事で離れている時間が多くても、その分、二人の時は二人の時間を充実させて、日々の暮らしを丁寧に過ごし、今できることに前向きに取り組んでいます。彼女の配信に勇気をもらい、共に前進する人たちがこれからも増えていくかもしれません。

▶LiiiさんのYouTubeはこちら  Liiichannel

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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