【Q&A】高温期に体温が上がらないのは黄体機能不全?~佐柄 祐介先生【医師監修】

りさん(27歳)

5年ほど月経困難症で低用量ピル(3年ファボワール、2年ヤーズ)を服用していました。
3月頃より服用を停止し、アプリで排卵日予測してタイミングをとっていました。
先月から基礎体温を付けだしたのですが、体温の上がり下がりはあるものの37度台になりません。
また今回は高温期6日目~8日目(多分高温期だと思っています)で35.8度まで下がってしまいました。
9日目の本日は36.1まで戻りましたが、基礎体温がガタガタしています。
まだ1ヶ月しか基礎体温が測れてないのですが、黄体機能不全なのかなと不安です。
この場合、あと2〜3ヶ月様子を見てクリニックを受診すべきか、なるべく早めに受診した方が良いのか迷っています。
また受診する場合、生理後など受診タイミングをご教授いただきたいです。

湘南茅ヶ崎ARTレディースクリニックの佐柄祐介先生にお話を伺いました。

【医師監修】湘南茅ヶ崎ARTレディースクリニック 院長 佐柄 祐介 先生
東海大学医学部卒業後、東海大学医学部付属病院、新百合ヶ丘総合病院などを経て2023年4月に地元の茅ヶ崎にて湘南茅ヶ崎ARTレディースクリニックを開院。「すべての女性があなたらしく生きるために」というコンセプトのもとに、患者さんの訴えに耳を傾け、ひとりひとりに寄り添った診療を行っている。日本産科婦人科学会 専門医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。日本産科婦人科内視鏡学会認定 内視鏡技術認定医(腹腔鏡)。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
まず黄体機能不全という病気ですが、現在その病態の解釈に議論があるため、実際の診療にもさまざまな対応がとられています。現時点での限られたデータの中では「黄体機能不全」の不妊原因として意義は明確ではないという報告もあります。
次に黄体機能不全とは高温期が10日以内であると言われてきました。実際の検査ではプロゲステロンというホルモンを計測して、その値が高温期に合致するかどうかをみるのが一般的と思われます。その他、基礎体温や内膜日付診などという診断方法もあるのですが、その診断方法の全てがいまだに確立されたものではありません。同様に治療ガイドラインもなく、プロゲステロンを高温期に内服補充したり、hCGという注射を投与したりとクリニックごとに考えて治療をしているというのが現況だと思います。

低容量ピルを内服していたことが、基礎体温がガタガタになる理由とはまず考えられないでしょう。ピルは月経の調整によく使われるお薬ですし、内服終了して2か月程度経っているのであれば、その効果はもうないと思われます。また高温期の途中で基礎体温が下がっても、その時に一致してプロゲステロンが下がることもないという報告もあります。まだ全容がわかっていないため、あまり気にしなくてもいいのかもしれませんね。

個人的に基礎体温で必要なのは低温期と高温期の有無、また連続性と再現性だと思っています。1ヶ月しかつけていないのであればもう少し様子を見て、2〜3か月後も同じようなことが起こるのであれば相談しに受診してもいいと思います。相談のタイミングはいつでもオッケーです。月経前やその最中でも相談や検査できることはありますので、まず思い立ったら受診してくださいね。

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