【Q&A】体外受精も前向きに考えています~向林先生【医師監修】

さいさん(37歳)

35歳の時に自然妊娠しましたが、おそらく7週目ぐらいで成長が止まり流産しました。それから約1年経っても妊娠の気配がないので不妊治療専門の病院に通い始め、検査をした結果、卵管が片方詰まってること、子宮ポリープがあること、子宮腺筋症だと言われました。
子宮腺筋症は着床への影響がありますか?このような障害は、自然妊娠できる(結果、流産でしたが)前にはなかったのかも気になります。
また、卵管も片方が詰まっていると正常な方で排卵しても上手く卵子をキャッチできないと聞いたことがありますが、そうなのでしょうか。
ちなみに子宮ポリープは今年の2月に切除し、3月から人工授精がやっとできるようになりました。
年齢も年齢なので前向きに体外受精も考えてます!ご回答よろしくお願いいたします。

奥村レディースクリニック 向林 学 先生にお話を伺いました

【医師監修】奥村レディースクリニック 向林 学 先生
近畿大学医学部卒業。近畿大学医学部附属病院、那賀病院を経て、平成19年奥村レディースクリニック副院長に就任。平成28年より同クリニック院長として、質の高い医療と話しやすい雰囲気づくりを目指して診療にあたっている。
日本生殖医学会生殖医療専門医、日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
子宮腺筋症は子宮内膜に似た組織が子宮壁(子宮筋層)の中で増えることで子宮壁が厚くなり子宮自体が腫れてしまう病態です。30歳代後半から40歳以上の妊娠経験者に多いとされていますが、未経産のより若い年代にも認められることもあります。妊娠への影響については、子宮筋層の異常運動による着床障害や精子の卵管への侵入阻害が指摘されています。また、子宮筋腫子宮内膜症も合併していることも多く妊孕能(妊娠のしやすさ)の低下や流産率の増加が報告されています。
左側卵管閉塞と妊娠については、子宮卵管造影検査で右卵管に異常が指摘されて無ければ「排卵した卵子のキャッチアップはできている」と考えてよいと思います。今後の不妊治療の進め方については、子宮内膜ポリープ切除を2月に実施されているので人工授精を実施していく方針で良いと判断します。人工授精による不妊治療でも結果が出なかった際の体外受精へのステップアップについては、子宮腺筋症の状態(腺筋症部分の位置や大きさ)により判断が分かれると思います。

子宮内腔が正常に保たれている場合はそのまま体外受精の可能性もありますが、GnRHアナログなどの薬物療法で腺筋症部分を縮小させる治療を体外受精前に実施する場合もあります。子宮腺筋症の病変部分を切除する子宮腺筋症核出術が選択されることもありますが、その有用性と安全性についてはまだ十分に証明されていないと思います。
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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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