【Q&A】移植後のPQQと運動について~小川先生【医師監修】

ケイティさん(43歳)

PQQは移植後もずっと飲んでもいいのでしょうか?
移植後のホットヨガなどは行かない方がいいのでしょうか?
移植後、前医では黄体ホルモンを膣錠(ルティナス)を使用していましたが、今のクリニックではプラノバールを処方されています。
膣錠との差はどのような事でしょうか?

小川誠司先生に教えていただきました。

藤田医科大学 羽田クリニック 小川 誠司 先生
2004 年名古屋市立大学医学部卒業。2014 年慶應義塾大学病院産婦人科助教、2018 年荻窪病院・虹クリニック、2019 年那須赤十字病院産婦人科副部長、仙台ART クリニック副院長を経て2023年9月、藤田医科大学東京 先端医療研究センターの講師に就任。自費で最新の医療を受けられるという併設の羽田クリニックで患者さん一人ひとりの思いをかなえるべく診療も行っている。日本産科婦人科学会専門医。日本生殖医療学会専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
●PQQを不妊治療にどのように取り入れるか?
PQQは、細胞のエネルギーを作っているミトコンドリアの活性を高めるとともに、抗酸化作用があり、細胞を酸化物資(活性酸素)から守ってくれる働きがあります。
卵子や卵巣自体の質の低下には活性酸素による障害が起因していると報告されており、PQQは抗酸化作用により卵巣を守り、卵巣機能を改善し、より質の高い卵子が得られるのではないかと期待されています。
また精子に対しても、精子のミトコンドリアに作用し、運動性を維持するなどの良い効果が期待されています。

●PQQをいつから、いつまでの飲むべきか?

PQQには上記のような作用があることから、ぜひ治療前(採卵前)から、ご夫婦ともに飲んでいただきたいサプリメントです。できれば不妊治療を始める2~3ヶ月くらい前から飲んでいただくと、十分サプリメントの効果が得られた状態で、不妊治療に臨めます。
またPQQはビタミン様物質のため、移植後も飲み続けていただいて構いません。妊娠中の服用を気にされるのであれば、妊娠判明後に中止していただければ問題ありません。

●黄体ホルモンの膣錠とプラノバールについて

女性ホルモンには、発育する卵胞が作る卵胞ホルモン(エストロゲン)と、排卵後に作られる黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があります。膣錠は黄体ホルモンのみが入っており、プラノバールは卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方が含まれている薬剤です。
また黄体ホルモンも私たちの体で作られるのと同じ天然型と、構造は異なる合成黄体ホルモンがあり、膣錠は天然型の黄体ホルモンで、プラノバールは合成黄体ホルモンです。両者には少しホルモン活性が異なるため、最近は自然に近い、天然型黄体ホルモンが主流になっており、移植時には膣錠が使用されることが多くなっています。
膣錠の使用が困難な場合(うまく挿入できないなど)には内服薬であるプラノバールも考慮され、またプラノバールは月経日時の調整などにもよく用いられています
●移植後のホットヨガ、移植後の生活について
移植後は過度の運動、性交渉は控えていただきたいと思います。ホットヨガについては血流を良くする効果もあるため、移植直前までは続けていただいて構いませんが、移植後は避けていただいた方が良いと思います。高温多湿の環境下での運動になり、脱水等も起きやすくなるため、ホットヨガは移植後と妊娠中は控えましょう。
またマッサージ等も、施行する箇所によっては子宮を収縮させてしまう場合もありますので、施術前に必ず「移植後であり妊娠の可能性があること」はお伝えください。
なるべくストレスを溜めず、穏やかな気持ちでお過ごしいただくことが良いと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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