32歳時の凍結胚で移植か改めて採卵から始めるか、悩んでいます
相談者 : Tararaさん(36歳)現在、第二子不妊治療中です。第1子の時の凍結胚5AB と4BB を1個ずつ移植しましたが、陰性。残りの胚は5日目4BB 2個、5AB(1PN2PB) 1個、6日目4BB 1個の計4個です。今のクリニックのグレードのつけ方が甘いようにも感じていますが、2個移植をしてもう一度採卵か、今の胚を破棄して採卵か迷っています。ちなみに保険での移植は残り4回です。ランクが低くても32 歳の胚のほうが可能性はあるのか、もし次回2個移植するならどの胚の移植がいいのか教えてください。
セントマザー産婦人科医院 田中 温 先生 順天堂大学医学部卒業。膨大な数の研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985 年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990 年、セントマザー産婦人科医院を開院。現在も研究と実験に精力的に取り組んでいる。日本受精着床学会監事。順天堂大学医学部客員教授。
第一子の時の凍結胚を1個ずつ移植するも陰性だったそうです。
田中先生●胚盤胞の見た目は良くても、なかなか着床しないというケースはとても多いです。なぜなら、若い年齢の方でも出産に至る確率は移植3〜4回につき1回であり、人間は子どもができにくい哺乳動物といえるからです。もともと子どもができにくいだけでなく、2人目不妊の方は、1人目から時間が経って卵巣年齢が高くなっていることも忘れてはいけません。
32歳の時の凍結胚を2個移植してから採卵するか、今残っている胚を破棄して採卵するか悩んでいますが……。
田中先生●保険適用内で治療を受ける場合、採卵した卵子を残したまま新たに採卵はできません。ですから、採卵をするならすべて移植してからか、破棄してからの二択になります。
2人目の治療を開始してから5ABと4BBを1つずつ戻していますが妊娠できていないので、私なら2個移植を提案します。ただし、保険では残り4回しか移植ができないので、その回数をいかに有効に使うかが重要です。
現在残っている凍結胚のうち、どれを2個移植すればいいでしょうか?
田中先生●凍結胚は4個なので、2個移植をすれば2回、移植ができます。
組み合わせは、①5日目4BBを2個、②5AB(1PN2PB)と6日目4BB、③5日目4BBと5AB、④5日目4BBと6日目4BBの4パターンが考えられます。ただし、6日目胚盤胞は染色体異常の確率が高いため、移植回数の消費になりがちであり、あまりおすすめはできません。私なら、①のみを移植して残りは廃棄。移植回数を3回残した状態で改めて採卵し、妊娠を目指すことを提案します。
次の採卵では、どのような排卵誘発法を試してみればいいですか?
田中先生●32歳時ですがAMHの数値は4ng/mlで、9個胚盤胞ができていることから、当時の排卵誘発法は相談者さんに合っているように思われるので、同じ方法でもいいでしょう。保険適用でリコンビナントFSH製剤が使いやすくなっているので、それを試してみるのも有効です。現行の保険制度では、移植をしなければ採卵回数に制限はないので、良い卵子が得られるまで、さまざまな誘発法を試すことができます。移植も3回チャンスがあれば、可能性は十分にあると思います。1人目のお子さんのためにも、頑張って2人目の出産を目指していきたいですね。