ジネコにご登場以来、不妊に関する悩みだけでなく、婦人科系疾患やご夫婦のコミュニケーションなど、身近な問題にいつも丁寧にお答えくださる秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生。ジネコ応援ドクターとして本誌に共感してくださっていること、医療に携わるうえで大切にしていることなど、熱い想いをお聞きしました。
ジネコ応援ドクターとして協力しようと思ったきっかけや理由を教えてください。
開業して3年目くらいの時期だったと思います。患者さんも少しずつ来てくださるようになっていた時期に、ジネコさんからお誘いをいただきました。当時はそれぞれの地域ごとに口コミの良いクリニックを選び、声をかけてくださっているということでした。
1990 年代の終わり頃から、妊娠を希望されている患者さん向けの月刊誌がいくつか刊行されており、僕も大学病院在籍中に主に不育症関連のテーマで何度か取材をしていただいたことがあります。その時、可愛い赤ちゃんの写真が表紙になっている「赤ちゃんが○○」というようなタイトルの雑誌に少し違和感を抱いたのですね。本当に赤ちゃんが欲しいご夫婦がそのような雑誌を本屋さんで手に取って購入するのか、と。
ジネコは「ジネコ」という一見何の本かわからないタイトルで、表紙の写真も赤ちゃんを思わせるものではありません。また、クリニックに配本し患者さんが無料で手にできるというシステム。それなら人知れず不妊治療を頑張っている方でも安心して読むことができます。本当に患者さんのことを考えている姿勢に共感を覚え、協力させていただくことにしたのです。
これまでのジネコの取材で印象深いことはありましたか?
尊敬するかしわざき産婦人科の柏崎祐士先生と対談させていただいたのはいい思い出です。同じ地域の医療を守る医師として刺激をもらうこともできました。
また、ジネコを通じて得られた人間関係も大変貴重なものだと感謝しています。婦人科検診に関する若い方のデータを提供していただいて、それが医師会事業のヒントになったり、記事を通してプレコンセプションケアに気づくきっかけをいただいたり、ホームページの動画などについてアドバイスをいただいたり。編集部の方はみんな勉強熱心で情報収集能力も高い。こちらが勉強させていただく事も多いです。
プライベートでは、ジネコの取材で知り合ったカメラマンさんと気が合って、車などの趣味を通じて今も仲良くさせていただいています。
こちらのクリニックでは患者さまに栄養面でのサポートも行っておられます。サプリメントに対する考え方を教えてください。
妊娠しやすい、あるいは妊娠が継続しやすい下地をつくるという意味で、栄養管理や生活習慣へのケアは重要であると思っています。
サプリメントは以前であれば、とかく「あやしい」という印象をもたれがちだったと思いますが、最近はきちんとしたエビデンスが示されているものも数多く販売されています。そのようなものを厳選し、患者さんの状況に合わせておすすめするように心がけています。
もちろんしっかりした医療が最優先ですが、その補助的な役割としてサプリメントの重要性は増してきていると感じています。
性教育のセミナーや子宮頸がんの検査にも力を入れるなど、若い方への啓発も重視されていますが、その経緯や理由は?
性教育セミナーは看護師長の澤部がライフワークとして長年行っているもの。僕は直接関わっていませんが、HPV ワクチンや子宮がん検診のデータなどを共有し、役立てるようサポートしています。
子宮がん検診の勧奨など若い方への啓発を行っているのは、2013 年より6年間大宮医師会の担当理事を務めた際に、医師会事業として子宮がん検診の啓発や研究を行ってきた経験が大きいと思います。
そもそも当院は私の父が60年前に開業したいわゆる「町医者」で、三代にわたって通院してくださっている患者さんもいらっしゃいます。不妊症や不育症の診療に力を入れてはいますが、「町医者」としての本分を忘れず、自分が対応できる患者さんをできるだけお断りしないという姿勢を心がけています。生理痛の中学生から80代のご老人まで診ていくなかで、自ずと健康を管理するという意識になってきているということもあるかもしれません。
ジネコも大学生向けに女性の健康意識を高めてもらいたいと考えています。このような取り組みについてどう思われますか。
とても大事なことで、良い取り組みだと思います。生理の異常や子宮がん検診のことなど、女性の体について知識が少ない若い方も多いので、正確な情報発信は必要だと思いますね。「妊娠前から体調に気遣って、早く結婚して早く子どもをつくる」ということを知るのは、不妊治療の保険導入より少子化を食い止められる策かもしれませんね。
情報収集&病院選びのポイント
1. 一人ひとり条件は違うので 口コミを100%信じないこと
2. ブライダル健診や婦人科検診で 一度院内の雰囲気を経験してみる
3. 気になっている施設があれば 説明会に参加して治療方針を確認