林先生に聞いてきました。
ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
にゃんさん(32歳)
PCOS持ちで、排卵せず、片側卵管狭窄気味です。
体外受精を昨年11月に行い、2個採卵して胚盤胞4AA.4BAになりました。
(1月に4AAを5AAでHRT周期で移植→陰性、2月に4BAを5AAでHRT周期で移植→陰性)
3月から再度体外受精して10個採卵し、胚盤胞3BB(培養5日目)、4AA(培養5日目)、4AA(培養4日目)でした。
子宮鏡検査で慢性子宮内膜炎があったため、ビブラマイシン14日間服用後、TRIO検査とCD138検査を行い、結果は全て問題なしとなりました。
現在移植周期に入る前のリセットでピル服用期間です。
特に前回と変更することなく治療する事になりましたが、なにか出来る事はありませんか?
SEET法は行っておらず、出来ないと言われました。
体外受精を昨年11月に行い、2個採卵して胚盤胞4AA.4BAになりました。
(1月に4AAを5AAでHRT周期で移植→陰性、2月に4BAを5AAでHRT周期で移植→陰性)
3月から再度体外受精して10個採卵し、胚盤胞3BB(培養5日目)、4AA(培養5日目)、4AA(培養4日目)でした。
子宮鏡検査で慢性子宮内膜炎があったため、ビブラマイシン14日間服用後、TRIO検査とCD138検査を行い、結果は全て問題なしとなりました。
現在移植周期に入る前のリセットでピル服用期間です。
特に前回と変更することなく治療する事になりましたが、なにか出来る事はありませんか?
SEET法は行っておらず、出来ないと言われました。
これまで2個の良好胚盤胞を移植されていて結果が出ないとのこと 。
子宮鏡検査をおこなって慢性子宮内膜炎の診断でビブラマイシン内服後のTRIO検査とCD138検査ですべて問 題ないということ。
現在3個の凍結胚盤胞が保管されているということ。
年齢が32歳という若い方ですと、仮に染色体が正常(正二倍体) の胚を移植した場合の着床率を55%と仮定すると3-4個の移植で累積着床率が80%となります(45%の仮定では4-5個、65%の移植で2-3個が必要)。
従って、 まだ妊娠に至っていないのは別段不思議というわけではありません 。
単に異数性胚(染色体に異常がある胚) や遺伝子異常などの胚であった可能性もあります。
他に着床側の検査としてはヘルパーT細胞比率、 不育症関連検査などがありますが、これらは現時点では自費検査となり、 かつ先進医療として認められていないために今後の移植がすべて保険適用されないため、 その適応は難しいところです。
着床を促進する方法としてSEET法は先進医療として認められて おり保険適用の胚移植との併用が可能ですので、 行ってもよいと思いますが、国内施設で好成績が報告されているものの国際的にはエビデンスの 蓄積はまだありません。
保険適用移植と併用が可能な内膜スクラッチやヒアルロン酸含有培養液を用いた胚移植はいかがでしょう。
話題の子宮内腔へのPRP療法(多血小板血漿) はまだ先進医療としては認められていません。
もう1-2回は通常の胚移植で、 その後こうした補助的な手技を加えるのもよいと考えます。
なおPCOSでインスリン抵抗性があるようです。
食事療法や運動療法に加えメトホルミンの内服はされておられます でしょうか。
BMI=25で肥満ではありませんが過体重です。
胚移植あたりの着床率や流産率には肥満傾向は関連があるというエ ビデンスがあります。
運動する習慣がもしなければ早速、 有酸素運動などを開始されるとよいと思います。
場合によっては体外受精に至るまでの一般不妊治療へのステップダ ウンも一考と考えます。
4月から保険適応となった排卵誘発剤フェマーラに場合によりFSH療法も組み合わせてのタイミング療法や人工授精療法も(体外受精で受精障害がないことが確認されているので) 右卵管に期待して試してみる価値があると考えます。