田中雄大先生にお伺いしました。
メディカルパーク湘南 田中 雄大 先生 慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖 医学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術 の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、 矢崎病院に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012 年にメディカルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
めいさん (40歳)18年前に
子宮外妊娠で左卵管切除しています。
2020年6月に一人目自然妊娠、出産しました。
二人目希望していますがなかなか授からず、年齢も考慮して昨年2021年11月早めにステップアップ。
体外受精にトライしました。
1回目採卵し、1個は胚盤胞まで育ちましたがグレードが良くなかったため移植はせず。
2回目の採卵では5個採卵して1個胚盤胞になり、グレードが良かったので移植して妊娠反応陽性でした。
双胎でしたが妊娠8週で稽留流産となり、流産手術しました。
その後、遺残があり胎盤ポリープらしく他院にて現在フォロー中です。
採卵1回目の凍結胚盤胞が残っていますがグレードは良くありません。
今後、現在の治療が終わったらその卵を移植するべきか、破棄して採卵からまた臨むべきでしょうか。
・胚盤胞到達率やグレードを上げる方法について教えてください。
残念ながら、胚盤胞到達率を上げたり、胚のグレードを改善したりするような直接的な補法はありません。もし、強いてあげるのであれば、それは、より若いうちに採卵をすることです。めいさんは現在40歳ということですが、この時期あたりから、卵子の質の低下は加速度的に早くなって行きます。外来診療中も同様の質問は多数頂きます。また、「サプリメントを使って、体質改善をしてからまた採卵に臨みたい」というようなお話を頂くことも多いのですが、そうした場合には、「可能な限り若い卵子を採取することが良好胚盤胞獲得への最短の近道なのです」とお答えしています。
・一人目は自然妊娠での出産とのことです。二人目不妊の原因としてどのようなことが考えられますか?
卵管を切除していることが一つ要因として挙げられます。ただし、40歳というご年齢であれば、年齢だけでも妊娠に至らない原因の説明にはなってしまいます。年齢を変えることは出来ません。不妊の原因には、余り拘らない方が良いでしょう。要は、これからどうするかです。その現実を正面から捉えて、前向きに進んでいけば良いので無いでしょうか?
・今後の治療の進め方について、アドバイスをお願いします
アドバイスは明確です。採卵を優先するべきです。良好胚盤胞が凍結出来るまでは採卵を続けた方が妊娠出来る可能性は高いと思います。凍結胚の管理を延長するのかどうかは、ご夫婦で決めれば良いかと思います。体外受精が保険化になったこともあります。不良胚を移殖して、保険では移殖には回数制限がありますが、採卵には制限が設定されていません。確率の低い移植をして権利を1回使ってしまうよりも、採卵を優先してください。それから、もう一つ、気になるのが、胎盤ポリープの疑いです。これは明確に妊娠の妨げになりますので、子宮鏡検査が出来る施設で実際にポリープが形成されてしまっているのかどうか、診て貰った方が良いと思います。