TOWAKO法は通常の移植と比べて着床率や出産率などに差はありますか?
田中雄大先生にお伺いしました。
メディカルパーク湘南 田中 雄大 先生 慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖 医学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術 の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、 矢崎病院に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012 年にメディカルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
mipopoさん(36歳)
子宮口が狭すぎてチューブでの移植ができず、開口術も流産リスクを上げるためやらない方が良いとのことで、TOWAKO法での移植を3度も受けたのですが、妊娠に至らず悩んでいます。
子宮の外側からアプローチする方法で、きちんとした場所に移植できているのか不安です。
子宮腔まで到達できず移植すらされていないという可能性は絶対にないのでしょうか。
また、移植後、自転車等に乗っても大丈夫なのでしょうか。
質問は以上です、宜しくお願い致します。
TOWAKO法とはどのような方法で、どのようなケースに選択されますか?
TOWAKO法とは、「経子宮筋層移植法」とも言われます。通常は、子宮口からチューブを入れて、胚移植を行いますが、超音波ガイド下に子宮筋層に針を刺し、そのまま子宮内腔まで到達させて、そこに胚を移植するという方法です。子宮口が狭いなどの理由で通常の移植が困難な症例に用いられる方法です。
TOWAKO法で移植されていない可能性について心配されています、お考えをお聞かせください。
ご不安の通りだと思います。超音波ガイド下に子宮筋層に針を貫通させている以上、内腔に絶対に入っている保証はありません。私も何回か行ったことがありますが、移植している医師の方にも、絶対的な確証はありません。
そのため、当院では、現在はTOWAKO法は行っておりません。方針は明確です。子宮口から移植できるよう、あらゆる手を尽くすのです。開口術で流産率が上がるということですが、具体的にどのような事を言っているか分かりませんが、やり方次第だと思います。
子宮口の屈曲が強く、本当にカテーテルが入りにくい方は稀に存在します。そういう場合、以前は、TOWAKO法を行っていましたが、妊娠しないので止めました。以降、諦めずに兎に角あらゆる手を尽くすようにしています。
そうやって、どんな患者さまにも必ず挿入してきました。子宮内膜症で子宮が屈曲している可能性はありませんか?腹腔鏡でお腹の中から覗いてみたら、何か分かるかも知れません。数日かけて徐々に広げるような方法は行ってみましたか?お住まいがどちらか分かりませんが、一度、当院で拝見させて頂きたいと思ってしまいます。
TOWAKO法は通常の移植と比べて着床率や出産率などに差はありますか?
実際の論文を読んだことはありませんが、TOWAKO法の成績は通常法と比較してもそん色ないという成績だという論文は過去に出たことがあるようです。
ただ、私は極めて懐疑的です。常識的に考えて、子宮口から軟らかいカテーテルを入れて、胚を子宮内腔にそっと置いてくる方法と、子宮筋層に針を刺して内腔あたりに注入する方法と、どちらが成績が良いかは明らかだと思います。残念ながら当院ではTOWAKO法で妊娠した患者さんはいません。
移植後の過ごし方について教えて下さい。
移殖当日、翌日位は多少安静気味にした方が良いでしょうが、それ以降は基本的に普通の生活で良いかと思います。エビデンス的には、安静にした場合と普通に生活にした場合に、妊娠率には差は出ません。無論、移植直後に長距離をランニングするなど、過度な運動などは控えた方が良いでしょうが。