妊活中、着床しないことの悩みって多いですよね。
せっかく、受精卵を作って移植したのに…
そんな時は、どうしたらいいのでしょう?林先生に聞いてきました。
林 直樹 先生 1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕 微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限 り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
ゆいまるさん(34歳)
二人目不妊で4年通院しても出来ません。
毎回体外受精で着床しないので、病院のすすめでERA検査をしました。
その結果インバグを移植前に投与していますが、妊娠判定はいつも陰性です。
また、移植後はバイアスピリンを飲み、ルテウム、ジュリナ、デュファストンを移植前から判定日まで投与してます。
一人目は体外受精2回で妊娠、出産できました。
ストレスなのか移植後一週間後に必ず腹痛に襲われます。一度、胃腸炎にもなりました。
術後出血はありませんが、おへそ周りが毎回痛くなります。
病院から「35歳まで」と言われており、もう少しで終了の時期なので焦ってます。
インバグを投与した一回目の手術では妊娠となりましたが、赤ちゃんがいませんでした。
病院からは「一度着床してるから、このままのやり方で」と言われてます。
逆に言うと、これ以外やり方がないのかと絶望しています。
ERA検査は、 凍結胚移植の時期が内膜の準備状態と一致しているか否かを遺伝学 的に解析するもので、いわゆる着床ウィンドウの検査です。
ホルモン調節周期で本来移植を行う時間に内膜を生検します。
結果によって移植日を半日から2日と前後にずらすことがあります 。
ご出産歴もありおそらくこの方はウィンドウのずれは無いものと推 定します。
ただし文面から判断するとおそらくEMMA/ ALICE検査の結果から
子宮内の乳酸菌が不足しているとの結果から乳酸菌製剤であるイン バグが処方されているものと思います。
反復着床不全の場合、 まず子宮内膜ポリープや卵管水腫などの解剖学的な異常がないかどうかのチェックが必要です。
帝王切開の場合、 子宮創部に液体が貯留し着床しにくくなることがあります( 帝王切開後症候群)。
ルテウムやジュリナ、 デュファストンはホルモン調節周期のためのお薬ですが、血中の黄体ホルモンが低値の場合着床率が低くなるという報告もあ りますので移植前日や移植当日の採血によりチェックしてみてはいかがでしょ う。
内膜は十分厚みがあるでしょうか、十分でない場合(7㎜ 未満など)多血小板血漿(PRP) 治療の適応があるかもしれません、またPRP治療は反復着床障害においても有効との報告がされてき ています。
このほか免疫的に胚が拒絶されていないかを調べるヘルパーT細胞 (Th1Th2)の検査があります、異常高値の場合タクロリムスの内服を考慮します。
年齢的に異数性胚ばかり移植しつづけていることは考えにくいのでPGT-A(着床前胚異数性検査)の適応はないと考えますが、移植当たりの妊娠率、 流産率については改善する可能性はあると思います。