不妊治療の医療格差…たびたび耳にしますね。

専門クリニックと、総合病院、一体どちらがいいのでしょうか?

浅田先生にお聞きしました

 

浅田レディースクリニック浅田義正先生  名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

みゆさん(39歳)

田舎に住んでいる為近くに専門医がなく、1人目は新幹線と在来線を乗り継ぎ片道2時間かけて専門医に通い、体外受精で授かりました。
2人目は、お金や時間を考えると同じ専門医には行けず、近くの(といっても車で1時間)にある総合病院での治療しかありません。専門医ではないからか病院主体のスケジュールとなり、採卵日も移植日も毎週の決まった予定の曜日にされます。年齢とお金のこともあり今回最後の望みで治療開始します。
やっぱり専門医と総合病院とでは結果違ってくるのでしょうか?違うとすれ培ば養士?
何か治療でこうしたらということがあれば教えて欲しいです。看護師も先生も淡々としていて治療も孤独感をすごく感じています。

 

一般的にがん治療等の場合は、大学病院や総合病院など、それぞれの専門領域を持つ医師がたくさんいて、チームで医療をしてもらう方がレベルが高い、ということが言えると思います。

不妊治療においては必ずしもそうではありません。現在大学病院はがん治療中心となっていますので、生殖医療専門の教授がいる大学はほとんどなくなってしまい、体外受精を主に行って、一生懸命研究している病院はあまりありません。日本の体外受精は、元々は大学病院で始まったのですが、その後不妊治療に用いる設備や仕事の仕方が、病院では上手くいかないので、プライベートのクリニックが主となっていきました。

ただ、プライベートのクリニックであっても、長年不妊治療の研究をしてきて、情熱を持つ医師と、たまたま不妊治療を行うことになった、という医師とでは、大きな違いがあります。不妊治療に対する知識、経験、思い入れ、こだわりが根本的に違います。そのため、そこで働く胚培養士の技量、看護師も異なる、ということです。

私は、真剣に不妊治療を考えるのであれば、専門医を探すしかない、と考えます。

大学病院、総合病院、プライベートクリニックの別に関わらず、不妊治療と真剣に向き合う医師を探す、ということです。どの医師に見てもらうか、ということが最も大切です。

年齢を考えると、一人目の妊娠と比べて、治療の成績はさらに厳しいことが予想されます。残された時間と限られた治療費を有効に使うのであれば、親身になってくれる医師を探し、最後に後悔のない治療を選択する、という方が、納得できるのではないでしょうか。

現在は不妊治療を専門に扱う心理士がいて、患者支援団体も様々あります。孤独感がさらに強まる前に相談されるのも一つの方法です。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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