喫煙は男性と女性の 生殖能力を低下させる?

妊活の一歩はまず知ることから。妊娠・出産について、あなたはどのくらい知識がありますか? 〇×クイズで、妊娠の知識を高めましょう!

田中 紀子 先生 京都府立医科大学医学部大学院修了。医学博士。アメリカ留学、扇町ART レディースクリニック勤務を経て、現在、田村秀子婦人科医院副院長。

喫煙は男性と女性の 生殖能力を低下させる?

タバコの煙に含まれる有害物質が 全身の血流を低下させて、 生殖機能に影響。

タバコの煙には全身の血管を収縮させるニコチンや、発がん性物質のタール、一酸化炭素など有害物質が含まれています。喫煙すると老化原因の一つである酸化ストレスも生じて生殖機能に大きく影響します。

女性の喫煙は、子宮や卵巣まわりの血流を低下させるため、卵巣機能や卵子の質の低下、子宮内膜の着床機能に悪影響を及ぼし、不妊の原因になります。また、妊娠中の喫煙の母体や赤ちゃんへの影響も大変大きく、母体側は高血圧などの妊娠合併症をはじめ、早産や流産の確率が高くなり、赤ちゃん側は胎児奇形や発育不全、低出生体重児につながります。

喫煙している男性は、喫煙していない男性に比べて精子の数や運動率、奇形率、すべての精子所見が低下しているというデータがあります。とくに精子の頭部にあるDNAがダメージを受けてしまうと、精子と卵子が受精した後の受精卵の質や発育にも関係してきます。

パートナーの副流煙にも注意が必要です。たとえ分煙しても、長時間一緒にいると間接的に影響をうけます。また煙が出ない新しいタイプのタバコも、有害性は紙巻タバコとほとんど変わらないといわれていて安心はできません。

喫煙は百害あって一利なし、健康にも妊娠にも、全くいい影響を及ぼしません。妊娠を希望している女性の方は、すぐに禁煙をお願いします!パートナーの方にも禁煙に協力していただきましょう。

いざ禁煙、となると精神的にも大変。そんなときは禁煙外来の受診をおすすめします。喫煙や副流煙が、妊娠や赤ちゃん、自分たちへの健康に多大な悪影響があることを理解してもらうことはとても大事。心を一つにして禁煙に協力していただくことが望ましいですね。

葉酸は妊活中から 摂取したほうがいい?

葉酸は胎児や卵子の質に重要 ビタミンやミネラルと 摂るのがポイント

葉酸は妊活を始める女性に欠かせない栄養素の一つです。他のビタミンとともに赤血球を増やしたり、DNAやRNAの合成を促進して細胞の分裂・産生や、たんぱく質を構成するアミノ酸の合成を助ける働きがあります。葉酸のこれらの働きにより、妊活中では卵子の質や着床率(妊娠率)も向上、妊娠中では胎児の先天異常である神経管閉塞障害のリスクを下げる効果、妊娠中の合併症(早産や胎盤異常など)の予防効果が報告されています。厚生労働省は妊娠する可能性がある女性に対して、妊娠の1カ月以上前から、通常の食事に加えて1日

400 μg (1日最大1㎎まで)の葉酸を栄養補助食品から摂取することを推奨しています。答え:○

葉酸は海藻やほうれん草、アスパラガスなどに含まれるビタミンB群の一つですが、水溶性のため調理中に葉酸の大部分が壊れやすく、ふだんの食事では必要量を摂取するのが難しくなります。とくに妊活中から葉酸の必要量は増えます。1日に必要な容量(400~800μg)を栄養補助食品などでしっかり補い、妊活中、妊娠初期から、後期、授乳期まで続けていきましょう。

葉酸サプリメントを選ぶときは、1日に必要な摂取量が含まれ、なおかつ添加物が少ないものを。産婦人科でおすすめしているものは安心です。

また、葉酸は体の中に他のビタミンやミネラルが不足すると十分に働かなくなります。まずは栄養バランスのとれた食事をとることが一番大事!それでも「いつもの食事で全体的に栄養素が不足しているな」と感じられる方は、葉酸のほかにマルチビタミンや鉄分が入ったサプリメントを選ぶといいですね。

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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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