胚盤胞がたくさんできるのに妊娠しません

胚盤胞のグレードは良好 でも、着床しません。

ほかの方法も検討すべき?

堀川 隆 先生 琉球大学医学部卒業。国立国際医療センター、国立成育医療セン ター不妊診療科勤務を経て、2009年12月より高崎ARTクリニッ ク院長に就任。国際医療センター勤務時より内視鏡手術・生殖補 助医療に従事。成育医療センターでは難治性不妊治療・加齢と不 妊についての研究に取り組む。プールサイドでビールを飲んでい たら、すっかり小麦色に日焼け!とのこと。「毎夏、子どものため にベランダに設置するビニールプールですよ(笑)。この夏はオ リンピックが楽しみ! 寝不足にならないよう気をつけないと」
るんるんさん(35歳)からの相談 Q.片側卵管閉塞のため体外受精を始めました。アンタゴニストで誘発し23個採卵 から18個の受精卵に、そのうち10個が胚盤胞まで到達しすべて凍結しました。 1回目は4AA移植で化学流産、2回目は4AA、3回目は4BAでどちらも結果は 陰性でした。すべてアシストハッチングありで見た目は良好胚でした。残りの7個 も4AB 4BAと良い状態なのですが、このまま単純に1個ずつ移植するだけでい いものか悩んでいます。ホルモン値や子宮内膜にも問題ありません。たくさん受 精卵ができるので卵子の質が落ちるのでしょうか。病院を変えてまた自然誘発で したり、初期胚移植やSEET法などの別の方法も考えたほうがいいでしょうか。

採卵数から考えると

片側卵管閉塞はありますが、ホルモン値や子宮内膜には問題ありません。胚盤胞の 数も、グレードも良好ですが、 3 度の体外 受精で妊娠しませんでした。まだ 7 個の胚 盤胞がありますが、このまま同じ病院での 移植を続けるべきか、とのご相談です。
堀川先生 アンタゴニスト法で 23 個採卵で きているとのことですから、治療状況として は良好と思われます。
数からしても、卵子の 質が落ちているとも考えにくいのではないで しょうか。
18 個の受精卵、 10 個の胚盤胞とい うのも 35 歳という年齢では問題ありません。
結論から言って、もしも転院をお考えだと しても、残りの 7 個の胚盤胞すべてを移植し 終わってからでも遅くはないと思います。
1 回目は化学流産とのことですし、まだ 3 回な ので着床障害とも言い切れません。
患者さん 側からすれば、毎回同じように移植している ように思われるかもしれませんが、医師も 漫然と同じことを繰り返しているわけではあ りません。
前回の結果を踏まえて、移植の位 置やタイミングなどを微調整しているはずで す。
ご年齢も 35 歳ですし、もう少しの間様子 を見てもよいのではないでしょうか。

グレードは見た目

胚盤胞のグレードは、高いほうが妊娠しやすいのでしょうか。
堀川先生 胚盤胞のグレードにはガードナー (Gardner)分類がよく使われ、「4A A」「4BA」といった表し方をしますが、 あくまでも形態からグレードは決められま す。
もちろん見た目が良い胚であることに越 したことはなく、3より4、CよりもBやA のほうが好ましいと考えられ、良い胚から優 先的に移植されます。
しかし、グレードが低 いからといって妊娠しないということではな く、逆にグレードが高いからといって妊娠す るとも限らないのが実状です。

SEET法への見解

るんるんさんは着床障害を疑い、「SEET法」なども検討されています。
堀川先生 着床しなかった場合の大部分は、母体に原因があるのではなく、受精卵の遺伝 子や染色体に何らかの異常があるためではな いかと推測されますが、染色体を調べる着床 前診断は、現在は倫理的な観点から、原則的 には反復不成功という理由だけでは国内では できないことになっています。
海外ではすで に行っている国もあるので、日本でのガイド ラインの改正が待たれるところです。
「SEET法」については、私自身は懐疑的 なので当クリニックでも取り入れていませ ん。
国内でも一部の施設でしかやってない治 療法ですし、海外ではあまり注目されていな いといっていいでしょう。
以前から同じよう なもので「スクラッチ法」があり、あえて子 宮内膜に傷をつけて刺激を与えるといった方 法もあります。
でも、どちらも「確率された 治療法」というより、着床しづらい患者さん に施す「アイデア」と私はとらえています。
しかし、妊娠するためならどんなことで も試してみたい、というお気持ちはよくわ かります。
病院ごと、医師ごとに治療方針 や考え方は異なり、「SEET法」について もあくまでも私の意見です。
もし、「やって みたい」と思われる治療法があるのでした ら、それを得意とする施設を選んで、事前 にきちんと納得できるまで説明を受けると いいでしょう。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。