凍結胚の移送について

今ある”凍結胚” 、 引っ越し先に移送できる?

どのような方法で移送する?

原 利夫 先生、向江 真璃さん 1983年、慶應義塾大学大学院(医学)修了にて医学博士学位を取得。 同大産婦人科助手時代、日本初の凍結受精卵ベビー誕生の一員として 活躍。その後、東京歯科大学市川病院講師、千葉衛生短大非常勤講 師を経て、1993年はらメディカルクリニックを開院。「超音波動画配信サー ビス」を新しく導入し、診察時のエコー動画をスマホ、タブレット、PCな どからいつでもどこでも閲覧できるようになったそうです。また、今回の取 材では胚培養士の向江真璃さん(麻布大学獣医学部動物応用科学科 卒、日本卵子学会認定培養士)にもお話を伺いました。
はぐちゃんさん(39歳)からの相談 Q.夫が転勤になりました。現在治療を受けているクリニックに通うのは難しくなる ので、転院しなければなりませんが、今ある凍結胚はどうしたらいいのでしょう? 不妊治療で顕微授精を続けていて、現在通院しているクリニックには3個の凍結胚盤胞があります。移転先は、高速道路を使って車で3時間ほどのところで す。何年も治療を続け、OHSSを克服して採卵した大事な凍結胚で、これで ダメだったら諦めようかとも思っているので、ぜひ活かしたいです。そもそも、 移送は可能ですか? 移送に伴うリスクはありますか?

凍結胚の移送

凍結胚の移送は可能? 移送方法は?
原先生 移送は可能です。
まったく問題ありません。
移送で凍結胚が劣化するとか、妊娠しにくくなるとか、そんな心配もいりません。
海外にだって移送できますよ。
手順としては、まず引っ越し先でこれから通う病院を決め、他院からの凍結胚を受け入れてくれるかどうかを確認すること。
さらに、現在通っている病院に転院先を知らせ、双方の培養士さん同士で連絡を取ってもらいます。
詳しいことは、この後に培養士の向江がお話ししますね。
向江さん 移送は、 1 時間程度の近距離であれば、ご自身で運ぶこともできます。
ただし、自家用車での移送の場合のみとなります。
胚は、超急速ガラス化保存法の一つであるクライオトップ法によって凍結され、凍結後は液体窒素の入った凍結タンク内にて保管されています。
移送の際にも、凍結状態を保つために、魔法瓶のような仕組みのケースに液体窒素を充填して運ぶことになります。
液体窒素は気化により容器に異常があれば爆発の危険性があるため、電車やバスなどの公共交通機関を用いて移送することはできません。
これは、必ず守ってください。
遠距離の場合は、専門の移送業者を利用してください。
クリニックに問い合わせれば、紹介してくれるはずです。
最近では移送用のタンク(ケース)も改良され、「ドライシッパー」という液体窒素を使って安全に運搬する容器もあるようです。
移送用のケースは病院側からの貸し出しとなりますので、通院中の病院、転院先、移送業者を交え、いずれともよく話し合って、ベストな移送方法を選ぶといいでしょう。

問題点を回避

培養士さん同士の申し送りとは?
向江さん 当院では、凍結胚の情報は電子カルテと紙媒体のダブルで管理しています。
クリニックによっては、凍結方法や溶解方法に若干の違いがあることもありますので、カルテを含めたすべての情報を転院先の培養士さんに開示し、転院先でもベストな状態を保っていただけるよう連絡を取り合います。
当院から凍結胚を移送したこともありますし、他院からの凍結胚を受け入れたこともありますが、これまでに主だったトラブルは一度も経験していません。
培養士の立場からしても、移送は安全と思いますね。
移送に問題点があるとしたら?
原先生 移送は安全で、特にケアする問題はありません。
現在通っている病院に転院する病院として友好的な転院先を紹介してもらうことも可能かと思います。
しかし現在通っている病院が、凍結胚の移送を嫌がることもあるかもしれません。
その場合には、「凍結胚の所有権は自分たち夫婦にある」とはっきりと主張してください。
移送業者も交え、移送の安全性を確保したうえで交渉すれば、こういった問題も速やかに解決できることと思います。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。