基礎体温が安定せず 化学流産は6回目。 黄体機能が弱いせい?

操 良 先生 岐阜大学医学部卒業。岐阜大学附属病院で8年間、不妊専門外来を担 当し、1992年には岐阜県下初の体外受精に成功。女性ホルモンに関す る研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研究奨励賞を、平成 11年度に日本内分泌学会で研究奨励賞を受賞。現在、操レディスホスピ タル副院長。医学博士。日本生殖医学会認定 生殖医療専門医。3月中 旬からは新館での診察がスタート予定。多忙を極める合間を縫って、SNS などをきっかけにつながる学生時代の友人と定期的に旧交を温めること が、楽しいストレス解消になっているそう。
カノンさん(26歳)からの相談 Q.3年近く基礎体温を測っていますが、ほぼ毎回、高温期に入る際に2、3日かけてゆっく り上がり、高温期5~9日目の間に1、2日体温が下がります。そのため、グラフはガタガタしています。下がる範囲は、ギリギリ高温期の範囲もあれば、低温期並みの体温に下がることもあります。自分でも黄体機能が弱いのかもと思い、病院デビューしたのですが、ドクターからは1、2日の変動は誤差だから気にする必要はないと言われました。 確かに低温期でも1日だけかなり高い日が出てきたりすることもあるので、そうなのか なと思ってタイミング法を続けてきましたが、治療2年を過ぎても妊娠せず、この間に化学流産は6度ほど経験しました。度重なる化学流産は黄体機能が弱いせいではないでし ょうか? それともドクターがおっしゃるように気にしなくていいのでしょうか?

基礎体温は目安

カノンさんの基礎体温についてどう思われますか?
操先生 基礎体温は、教科書のようにきれいに上下する人ばかりではありません。
むしろ、カノンさんのように、グラフにガタつきが出る人がほとんどだと思います。
実際、基礎体温だけで排卵日がわかることはほとんどなく、低温相の時にすでに排卵していたり、高温に上がってから排卵するという場合もよくあることですので、基礎体温と超音波で見る排卵が同期するとは限りません。
ただ、変な出血が続いたり、今回はなかな か排卵しないとか、生理ではない時期に大量の出血があるなど、そういった「ちょっと変だな」ということがある場合には、基礎体温はすごく参考になります。
また、低温相があまりにも続く場合は排卵していないとか、高温相の持続期間が 10 日未満であれば黄体機能不全などの異常を疑う目安にはなります。
ですから当院でも、基礎体温はできれば測ってくださいとお願いしてはいますが、やはりそれはあくまでも目安です。
基礎体温のグラフのガタつきが、即、異常につながるとは判断しにくいと思いますね。

化学流産の考え方

化学流産の既往についてはどうですか?
操先生 化学流産は現在、生化学的妊娠と呼ばれています。
これは、妊娠検査薬では陽性が出るのに、子宮内に胎嚢が確認されないまま、ごく早い段階で流産することです。
最近の高感度の妊娠検査薬により、何の異常もない健康的なカップルでも 30 ~ 40 %と高確率で起こるというデータが出ています。
この生化学的妊娠は、不育症の流産回数に は含めないというのが定義で、着床障害の領域として扱われます。
ただ6回という回数を考慮すると、不育症のチェックをしてもいい時期かもしれません。

ホルモン検査も必要

黄体機能が弱いのかもと心配しています。
操先生 そうですね。
黄体機能不全が一つの病因になっている可能性はあると思います。
ですから、基礎体温だけではなく、妊娠を支えるホルモンがきちんと出ているかどうか、血液検査で黄体ホルモンや卵胞ホルモンを測定する検査も行ったほうがいいでしょうね。
また、排卵期や着床期の子宮内膜の厚みを 測定して、着床環境が整っているかどうかを調べてみるのも大切だと思います。
あとは、きちんとした排卵が起こっている かどうかです。要するに、卵胞径が小さいまま排卵するようなことがあれば、できた黄体もあまり状態が良くないので、妊娠はしかかるけれども生理が来てしまうという、黄体の血管新生不全の原因になる卵胞発育の異常がないかどうか。
さらに高プロラクチン血症の有無などですね。
妊娠反応が出るところまではいっているの で、すべての不妊症の検査が必要とは思いませんが、今後、効率良く治療を進めるためにも、まずはホルモン検査と不育症の検査について医師と相談されてはいかがでしょうか
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。