相手を傷つけずに上手に付き合っていく【医師監修】

つらい経験をしたあとの姑との関わり方がわからない。 良好な関係を築くには……? 今回はそんな、誰もがぶつかる難問のヒントを田村先生に伺いました。

【医師監修】田村 秀子 先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院 に勤務。1991年、自ら不妊治療をして双子を出産したのを機に、 義父の経営する田村産婦人科医院に勤め、1995 年に不妊部門 の現クリニックを開設。繊細な感性を秘めた、おおらかな人柄が 魅力の先生は、A 型・みずがめ座。2010 年10月、『男が知りた い女の「気持ち」 永遠のナゾに女医が答える』(講談社・ブルーバッ クス)を上梓。生理中や妊娠中などの、女性特有の心と体の感覚 を女医の視点から解説した注目の新書です!
チエさん(主婦・29歳)からの投稿 Q.不妊治療で授かった子どもを流産しました。 姑には治療のことは黙っているつもりでしたが、 ある経緯でバレてしまい、仕方なく打ち明けました。 流産後は1~2週間に一度、電話で治療のことや 日中の過ごし方などを聞かれ、悪気がなくても、 詮索されているようでうっとうしく……。 「心配しているだけ」と主人は言いますが、 私にはお節介に思えて仕方ありません。 今後、治療を再開しても、姑には一切話さないと 決めています。電話も月1回くらいで十分だと。 干渉から逃れたいので、主人から話してもらおうと 考えています。角が立たないように伝えるには 何と言えばわかってもらえるでしょうか。

ぶつからないように そっと横に避けてみる

世の中のお姑さんって、「不妊は自分の息子のせいではない。うちの子に限って…。」と思っている人が多いんですね。
一方、お嫁さんのお母さんは、自分の娘が嫁としての責任を果たせていないような負い目を感じていたりする場合がある。
そんな二人の気持ちをお嫁さん自身が意識してしまうと「責められる」と思い込んで、きっと「治療のことは言わないでおこう」と思うのではないでしょうか。
でも、チエさんの場合、お姑さんが電話であれこれと聞いてくるのは、流産したあなたを責めているわけではなく、ご主人が言うように、純粋に気遣ってくれているのかもしれません。
ただ、嫁姑というものは、残念ながら“なさぬ仲”。
「本気で心配してくれているのかしら」と疑ってみたくもなるし、うっとうしく感じたりもする。
「今日は何していたの?」と聞かれたら、「私が暇だと思っているのかしら」なんていうふうに、つい考えてしまいがちですよね。
私が患者さんからこんな相談を受けた時、よく言うのは、「ぶつからないようにそっと横に避けて通る方法を考えなさい」と。
たとえば、ご近所さんに「いいお天気ですね」と声を掛けられたら、「そうですね」と軽く返事をするでしょう。
お姑さんとも、そういうなにげない会話でいいと思うんですよ。
お互いを傷つけないように付き合っていくには、素直に「はい」と返事しておいて、時にはうまく聞き流してスルーしてみることも必要だと思います。
怒られるとか責められるとか、相手が矢を持っていると思うから、こちらもつい盾を持って構えてしまう。
これではうまくいくはずがありませんから。

相手が矢を持っていると 思わないことが肝心

お姑さんになかなかわかってもらえないと感じているなら、柔軟な考え方のできるあなたのほうが合わせていくのがいいでしょう。
これは、ある著名人の奥様のお話ですが、「これ以上言うと相手が怒り出すな」と感じたら、「なんちゃってね」と語尾につけて、会話にひと区切りつけるのだそうです。
これはまさに真髄!
お互いが嫌な気持ちにならないように、引くところは引いて、笑いで済む程度の冗談も織り交ぜながら、垣根なくお姑さんと話ができるようになれば、しめたものです。
これをできるのは、若くて頭の柔らかいお嫁さんのほうの役目だと、私は思います。
うちの病院の職員が結婚する時、私は必ず「旦那さんを、お姑さんと取り合いしたらあかんよ。借りていると思っているくらいがちょうどいいよ」とアドバイスします。
男の人は言葉にしないけれど、お母さんを大事に思っているんです。
お姑さんのことを相談するのはいいと思うけれど、愚痴を言ってしまうと、旦那さんはあまりいい気持ちはしないはずです。
大事な旦那さんに不快な思いをさせたくないのなら、お姑さんと上手に関わっていく努力をすることも必要ですね。
根本は、あくまでも相手が矢を持っていると思わないことです。
お姑さんは、結婚を許した時点でお嫁さんを受け入れようと思っていたはず。
でも、こちらが構えるからうまいかなくなる。
だから、何か言われたら、「干渉されてうっとうしい」と思わずに、「自分のために言ってくれているんだ」と、頭の中で自分に納得のいく台本を書いて、うまく矛先を収める。
そんな発想の転換をしてみてはいかがでしょうか。

秀子の格言

"なさぬ仲"がゆえに 敵対してしまう嫁姑関係。 相手を傷つけずに 上手に付き合っていく 努力をしてみて。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。