詳しい説明もないまま不妊症と診断されて戸惑っています

初めてクリニックを訪れるときは、不安でいっぱい……。 検査や診断について医師はきちんと説明してくれるのでしょうか。 秋山レディースクリニックの秋山先生にお話を伺いました。

秋山 芳晃 先生  東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国 立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不 妊専門病院として新たに開業。O型・やぎ座。今年の1月より 子宮頸がんのワクチン接種を開始。45歳くらいまで有効性が あるので、出産後や結婚前の女性にはぜひ受けてほしいと先生。

ドクターアドバイス

検査や治療に関する知識を ある程度頭に入れておかれると 戸惑いが少なくてすむと思います。
困ったさん(派遣・年齢秘密)からの投稿 Q.結婚2年半。妊娠に至らず、先日とりあえず生理不順の相談をしに病院へ。 特に不妊検査を希望したわけではないのに「結婚して2年半できないのは 不妊症」と言われ、あれよあれよという間に不妊検査をしてきました。 翌日 ※ ュナーテストも行いましたが「精子が1匹もいないので、すぐに ご主人の精液検査を」とのこと。あまり詳しい説明をされないまま 不妊症と言われて検査が進み、私も主人も戸惑っています。

「不妊症」という概念

困ったさんは1年ほど前から基礎体温をつけ、自己流で排卵日を予測して夫婦生活をしているそうですが、それでも妊娠しないということはやはり「不妊症」となるのでしょうか。
秋山先生 通常、日常的に性交渉があれば1年間で 80 %、2年間で 90 %のご夫婦が妊娠に至るといわれています。
一定期間、性生活があっても妊娠に至らない場合、不妊症と診断されるわけですが、一般的にその期間は2年間といわれています。
困ったさんご夫婦の場合、結婚後、特に避妊をしていなくても1年半妊娠されず、その後、自己流でタイミングをとっても1年間お子さんができなかったということですから、
妊娠を妨げるなんらかの因子がある可能性は否定できません。
初診時にいきなり「不妊症」と言われたことに、少しショックを受けてしまったようですが……。
秋山先生 「不妊症」と聞くと病名のようで抵抗を感じる方もいるようですが、これはあくまで「2年間、日常的に性交渉を持っても妊娠しないご夫婦」という定義なんですね。
ですから、他の病気のように「特定の異常が見つかったから○○病です」というのとは少し異なります。
不妊症は原因の有無については触れていませんから。
不妊症という定義で考えればあてはまるので、これからなぜそうなったか因子を探していき、妊娠へ近づけるように頑張りましょう、というのが不妊治療です。
初めに不妊症と言われるのは確かにショックかと思いますが、そこで深刻にならず、前へ進んでいっていただきたいです。

意思疎通をシッカリと…

困ったさんは、初めは検査をするつもりはなかったのに、初診時が排卵日だったため、詳しい説明がないまま超音波などの検査に進んでしまったことにも戸惑っています。
秋山先生 私自身も特に気をつけていることですが、かなり忙しいときなどに、患者さんと意思の疎通が十分でないまま、検査や治療が進んでいってしまいそうなときがあります。
診察中は他にも患者さんが待っているので、どうしても言葉足らずになってしまうし、患者さん側も初めて訪れた病院では緊張してしまい、言いたいことを100%言えないものですよね。
ですから当院では、初診時は必ず、診察前に専門のカウンセラーによるカウンセリングをしています。
既往症や妊娠歴、お仕事の内容などの予診的なことをはじめ、妊娠の成り立ちや妊娠を妨げる異常の種類、検査、対処法などについても詳しくお話しします。
これらをご説明したうえで、患者さんの希望を伺ってスケジュールを立てていく。
不妊カウンセラーは患者さんと同じ年頃の女性なので、性生活や費用についてなど、医師に話しにくいことも気軽に相談できるようです。
時間制限は特にないので、1時間くらい話していく方もいらっしゃいますよ。
なかにはカウンセリングだけで安心して、検査をせずに帰られる方もいます。
ワンクッションあると疑問が残らないし、気持ちも楽になりますね。
秋山先生 そうですね。診察のあともご希望があればカウンセラーと話ができるので、不安を抱いて帰られることはないようです。
僕のほうはカウンセラーから患者さんのお話の報告を受けて、それを検査や治療に反映できるように心がけています。

ご主人がショックを受けることも

困ったさんは初診の翌日にヒュナーテストも行い、「精子が1匹もいない」という結果に。突然の悪い結果にご主人もショックを受け、検査の信頼性にも疑問を抱いているようですが、この点はどう思われますか?
秋山先生 ヒュナーテストは明確な診断基準が定められていない検査であり、検査を行うタイミングやご主人のコンディション、頸管粘液の量などによっても結果が左右されることがあります。
1回の検査では判断が難しいので、当院では結果が不良な場合は必ず条件を変えて何周期か再検査を行うようにしています。
「すぐに精液検査を」と言われ、抵抗を感じてしまったようですね。
秋山先生 結果が悪い場合、頸管粘液が原因と思われる際には、まずホルモン補充などで頸管粘液を増やす試みをすることが多いですね。
頸管粘液の状態がいいのに結果が悪ければ、当院でもご主人の精液検査をおすすめするようにしています。
とはいえ、お話だけではなかなか理解しづらいと思いますので、僕はパソコンで頸管粘液や精子の画像をお見せしながら説明しています。

治療をスムーズに進めるために

「精子がいないはずはない」と頑なに検査を拒否する男性も、実際の画像を見たら納得しますね。困ったさんが行かれた病院は、そういった説明や患者さんとの意思疎通が少し足りなかったのかも……。
秋山先生 検査の内容は間違っていないと思いますが、その伝わり方に少し問題があったのかもしれませんね。
また、患者さんご自身としては病院を訪れる前に、どんな検査があるのかなど、不妊に関する知識をある程度頭に入れておくと、戸惑いが少なくてすむのかなと思います。

あとはご夫婦の問題でもあるので、最終的にどんな形で妊娠を望まれるのか、お二人できちんと話し合っておくことが大切なのではないでしょうか。

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